王の鼻舌 #8「COHIBA Club | コイーバ クラブ」

COHIBA Club コイーバ クラブ

「王の鼻舌」第八回。

 

今回は、いつも紹介しているプレミアムシガーとは趣向を変え、細かく刻まれた煙草葉であるショートフィラーを用いて巻かれている「ドライシガー(シガリロ)」の銘柄を一つ紹介しておきたい。

 

キューバ産葉巻として名高い「COHIBA | コイーバ」のクラブサイズのドライシガー。

クラブサイズの大きさのイメージとしては、大衆文化に普及しているシガレット(添加物を染み込ませた紙くずに値する紙巻き煙草)を一回り大きくした程度のサイズ感なので、比較的短時間の内に手軽に楽しむことができる。

また、一箱1,650円で10本入りなので、安くとも一本数百円はするプレミアムシガーに比べると段違いに経済的であることに気付くだろう。

 

ドライシガーには、人工的な着香を施したものが多くみられるが、このコイーバクラブは、100パーセントキューバ産の煙草葉から作られているため、添加物質による影響を気にすることなく安心して吸える。

要するに口にするものなので、化学の意図による介在のないシガーを愉しみたいという個人的な理念を持っているのである。

まあ、煙草葉の栽培過程の農薬云々に関する危機感に対しては、笊(ざる)な矛盾は否めないにせよ、現在の私にとってのシガーライフとはそのように在る。

 

ドライシガーゆえか、ラッパーの香りは控えめ。

着火すると、一口目から素晴らしく濃厚な旨みが口腔に支配力を及ぼし、ハバノス(キューバ産葉巻)の王者コイーバのカリスマ的片鱗を匂わせる。

コイーバのプレミアムシガーに関して私は未経験だが、さぞ美味しいものなのだろうと想像を掻き立てる筋の通った喫味である。

 

吸い口から溢れるローストナッツのような香りにもコクがあり、濃厚。

鼻腔から煙を抜くと、ウィスキーのようなほろ苦さを感じることもできる。

 

しばしの恍惚の末、20分強で投了。

クラブサイズゆえに味の変化には乏しく、最初の一口が最も美味しい。

その後は、ごく僅かに雑味を帯びながら緩やかな下降線を辿るといったところだが、基本的にはずっと美味しく吸える。

ちょっとした時間でリラックス効果を得たいときなどに相応しい葉巻だが、私は浴槽で半身浴をしながらしか葉巻を吸わないスタイルを貫いているので、基本的には葉巻代を節減したい場合に、プレミアムシガーの代替としてこのコイーバ クラブで賄うというパターンが定石となっている。

 

個人的評価では、ドライシガー界隈において一二を争う優秀な葉巻として常にストックしてある。

 

ちなみに、この日はシガーの供として、いつものヴィーガンチョコレートに加え、栃木県産「とちおとめ」を添えて束の間のシガータイムで疲弊した心身を癒した。

COHIBA Club コイーバ クラブ

 

麗しき酸味の香るとちおとめの甘い余韻とコイーバクラブの濃厚な喫味が奏でる可憐と芳醇のハーモニー、斯くして大聖堂と化したその楽園にチョコレートを放り噛み砕くと、カカオの濃密なエッセンスとミントの囁きが口腔という名の聖地に重厚な祝福を響き渡らせるではないか。

舌上で繰り広げられるそのプログレッシブなケミストリーはまさに芸術であった。

 

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著/臣咲貴王

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