革命家の葉巻保管庫

葉巻保管庫

私は、完全菜食のヴィーガンであり、食彩の選択を色々と控えている身柄なので、趣味である葉巻によって齎される芳醇な悦楽は、より一層脳に沁み渡る構造となっている。

ヴィーガンでありながら葉巻を吸うという、私のような奇行種はあまりいないと思うので、理解を得ることは困難であろうが。

 

そんな葉巻の中でも、プレミアムシガーと呼ばれる葉巻は、まさに葉巻の代名詞。

熟成されたタバコ葉の中心葉脈をカットし、その半月型の葉を数枚重ねて手作業で巻いたハンドメイドシガーのことである。

無論、香料や化学薬品などは一切添加されておらず、「葉巻」と言われて誰もがイメージするであろう、あの太く長い怪物のことである。

プレミアムシガー

 

ちなみに、プレミアムシガーを巻く際に余ったり、検品段階で弾かれた葉を細かく刻み、その外周をラッパーのタバコ葉で巻いたものは、「ドライシガー」と呼ばれ、プレミアムシガーとは別途にカテゴライズされる。

細かく刻まれた葉は、「ショートフィラー」と呼ばれ、プレミアムシガーに使用される「ロングフィラー」と区別される。

ショートフィラーは呼吸することができないので、ドライシガーは、プレミアムシガーのように加湿させる必要がなく、湿度管理が不要なシガーとして葉巻界に鎮座している。

但し、ドライシガーも湿度調整により香味が洗練される事実はあるが。

 

反対に、プレミアムシガーは、年月をかけて熟成させることが可能な葉巻である。

経年による硫化などで、存在に深みを増すシルバーアクセサリーのように、プレミアムシガーもまた、熟成させることによって角のないまろやかな喫味へと昇華させることが可能なのである。

とは言え、熟成には5年以上必要とされており、今の私に熟成されたシガーの味を語る術はない。

 

上記の理由も含めて、プレミアムシガーの保管には、70パーセント前後の湿度を保つ密閉性の高い保存容器に幽閉し管理するのが好ましいとされている。

この湿度管理が適切でないと、その葉巻が有するポテンシャルを引き出すことができず、高価なシガーを文字通り不完全燃焼させてしまうという冒涜を成し遂げることにもなりかねない。

特に、買ったばかりの葉巻は注意が必要だ。

店舗にもよるが、小売店の葉巻は、湿度を低めに設定したヒュミドール(葉巻専用の保管庫)の中で管理されている傾向が強いからである。

であるからして、通常は、購入後に自宅のヒュミドールの中で最低でも一週間ほど加湿してから火を灯すのが望ましい。

シガーをより深く愉しむには、そういった忍耐力が要求されるのだ。

 

ここで、ようやく本題へ。

その調湿のためのヒュミドールであるが、嫌味なほど高価であると認識せざるを得ない代物なのである。

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二つ目のヒュミドールなどはまさに、「葉巻は王族の嗜み」とでも言わんばかりの、価格帯という名の疑問符を庶民に投げかけてくる次第だ。

貴金属を使用しているわけでもあるまいし、このコストの暴力に耐え得る資産があるかどうかは、現在の私の楽天銀行口座を確かめるまでもないだろう。

 

そこで、私の葉巻保管事情はどうなっているかというと、現時点ではこの様式をとっている。

葉巻保管庫

 

自家製の果実酒などを漬け込む際に使うガラス製の密封保存容器の中に調湿剤を投入し、そこに葉巻達を保管しているのだ。

高さもちょうど、ほとんどのサイズの葉巻が収まる仕様となっている。

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デザイン性と機能を考慮した末に選抜したこのガラス瓶であるが、密閉性に優れていることに加えて、透明なので保管している葉巻の様子が丸見えである点が素晴らしい。

光を透過するという、葉巻の管理にとってはあまり好ましくないデメリットはあるにせよ、シガーを目で楽しむことが一つの生き甲斐である私にとって、この機能は重要なメリットであると受け止めている。

 

調湿剤は、これを入れておくだけで葉巻の保管に適切な湿度70パーセントを保つという、利便性の高さを謳っている特殊セラミックのエバーウェットを選択。

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これで一年程度効果が持続するとのこと。

私は、容量1リットルの上記ガラス容器の天地にこの調湿剤を2つ投入して管理している。

 

葉巻保管庫

葉巻保管庫

 

上記の方法なら、二千円弱でシガー環境をある程度整えることができるので、特に私のようなビギナーには推奨したいスタイルである。

まあ私は、数百本単位で葉巻を所有しているような富豪ではないので、当面はこれで構わないだろう。

もっと安価に、タッパーで管理するという方法もあるが、流石にそれでは美観に欠けるので。

ただ、ある程度の通気性が確保された木材を使用しているヒュミドールに対して、こちらのガラス容器では通気性が完全に遮断されてしまうデメリットがある。

なので、シガーの呼吸を促すために、たまに保管庫内を換気させるといいだろう。

 

ある一つの用途のために作られた道具を、別の用途に接続させる脳の習慣は、日々の小さな閃きを呼び込み、小さな革命を齎す。

そういった閃きを積み重ねることで、やがては人生の革命に繋がり得ると、しがない個人事業主である私は信じていたいのだ。

葉巻を嗜み始めてまず、ヒュミドールの権威に打ちひしがれた私に降り注いだこのアイデアは、オリジナルで革新的だと思ったので、世に流布いたしたくこの記事を投下した次第である。

 

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著/臣咲貴王

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