「音楽」は、私のライフスタイルを彩る上での重要なコンテンツとして機能している。
一リスナーとしてのミュージックライフなくして、この物理的制約に拘束された地球社会における鬱屈した情動を昇華することは困難であるだろう。
日常における私の音楽鑑賞方法は、パソコン上のiTunesの中に葬ったMP3データを、2017年4月現在未だに現役使用中のiPhone4Sに同期し、主に外出時にイヤフォンで聴くというスタイルが主である。
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そんな中で最近、iTunesの標準機能である「プレイリスト」の存在に目が留まり、そこに大いなる意義を見いだすこととなった。
プレイリストで好きなアーティストの曲を自分好みにセレクトし、曲調、曲順を考慮してオリジナルのアルバムを構築するという、暇を持て余した遊民のごとき行為に快感を見いだすに至ったのである。
よって、その行為による結果を「神聖なるプレイリスト」と銘打ち、シリーズとして今回からこのブログで勝手に発表していこうと思っている。
ちなみに、プレイリスト構築の独自ルールとして、セレクトする曲は基本10曲に定める。
収まりが良いので。
記念すべき第一回目のアーティストは、DIR EN GREY(ディルアングレイ)。
私は根本的に、いわゆるヴィジュアル系界隈の音楽シーンを主食として育ってきた節があるので、今後もこのシリーズではそれに準ずるジャンルのセレクトが中心とならざるを得ない。
中でもDIR EN GREYは、私が大いに刺激を受けたバンドであるといえ、地球社会で後天的に形成された底知れぬ負の霊性を合理的に癒し得る希少な存在として位置付けている。
尚、今回のプレイリストは、大気の不安定な春日和に、散りゆくソメイヨシノを眺めながら再生することを前提とした仕様に組んである。
では、発表。
- CONCEIVED SORROW(アルバム「THE MARROW OF A BONE」収録曲)
- 朔-saku-(アルバム「Withering to death.」収録曲)
- 明日無き幸福、呼笑亡き明日(アルバム「VULGAR」収録曲)
- 腐海(シングル「かすみ」収録曲)
- OBSCURE(アルバム「VULGAR」収録曲)
- FILTH(アルバム「鬼葬」収録曲)
- 懐春(アルバム「ARCHE」収録曲)
- RED SOIL(アルバム「UROBOROS」収録曲)
- Я TO THE CORE(アルバム「VULGAR」収録曲)
- AMBER(アルバム「VULGAR」収録曲)
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このようになった。
一曲目、「CONCEIVED SORROW」。
陰鬱なピアノ音階と、第一声の“イバラに絡む太陽”から厳かに始まる。
二曲目には、起爆剤的な「朔-saku-」を配置。
“死骸で作った山道”、“のどかに流れる赤の川”などの表現が、麗らかな春のコンセプトと合致する。
続く三曲目、「明日無き幸福、呼笑亡き明日」で「どしゃぶり」に。
“ありふれた日常からいっそう飛び降りてしまいたいくらい”や、“バカらしくはないですか? 同じ人間に騙される事”など、人間味のあるシニカルな表現が、人間関係のスタートを象徴する四月にぴったりである。
そして、四曲目の「腐海」に沈んでいく。
こちらは、シングル「かすみ」のカップリング曲であるが、耳に残る湿ったギターリフが印象的な名曲。
五曲目、這い上がった先の「OBSCURE」。
“悲しげに舞う染井吉野”は、今回のプレイリストの中心を担う。
そして辿り着く六曲目は、「FILTH」。
こういったサビのメロディーを際立たせる曲展開は、後続バンドにも多大な影響を及ぼしているといえるだろう。
“腐った苺”の季節につき。
七曲目は「懐春」。
ここで時空間が広がるイメージ。
日本の原風景を思わせる“畦道”で春を待つ。
そして、八曲目「RED SOIL」の「赤土」へと繋がる。
前曲「懐春」と共に、地に足の着いた世界観で捉えられている印象があり、意外と自然な流れになっているかと思う。
前者には“春に変われる日”、後者には“手首に咲く満開の桜”と、春めいた表現が含まれている。
九曲目、「Я TO THE CORE」。
今回のコンセプトにおいて、一見異質なこの曲をここに置くことで、次のラストソングへ向けた無理のない道線が確保できるのである。
“汚れてしまえば誰もが一緒さ”で帰結。
そして十曲目は、「AMBER」、最後は「琥珀」となる。
“小春日和”に始まり、前曲「Я TO THE CORE」に出てくる“声枯らしながら腐り切ったお前らに”に共通する表現としての“声が枯れるまで歌おう”で幕を引く。
ということで、今回のプレイリストを再生済みとしよう。
こうして曲の組み合わせに変化を与えることで、それぞれのアルバムを通して聴くのとはまた一味違った刺激を受けると共に、各々の曲の素晴らしさに改めて気付くことができたので、この企画は今後も続けていきたいと思っている。
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著/臣咲貴王