王の鼻舌 #6「BOLIVAR PETIT CORONAS | ボリバー ペティ コロナス」

Bolivar Petit Coronas ボリバー ペティコロナス

「王の鼻舌」第六回。

 

今回は、いわゆる「ハバノス」と呼ばれるキューバ産の葉巻を、一本まるごと愉しもうと思う。

ボリバーのペティコロナス。

ボリバールとも呼ばれている銘柄である。

一本1,400円で購入した。

 

シガーバンドには、ベネズエラ・ボリバル共和国の革命家であり、19世紀初頭に、スペインの植民地であった南米大陸のアンデス5ヶ国(コロンビア・ベネズエラ・エクアドル・ボリビア・ペルー)の独立を指導したとされる、Simon Bolivar(シモン・ボリバル)の人物画が、象徴的に描かれている。

 

ラッパーは深みのある獣臭がするが、印象自体は毛皮のコートでも羽織ったかのように非常に高貴。

 

おもむろに着火。

序盤はスパイシー。

ペッパー系の香りの中に、やや酸味を帯びた甘さが入り混じった副流煙が、ハバナシガーの高潔さを物語る。

 

ヘッドから漏れるナッツ系の香りも、他のシガーと比べて、深煎りしたような奥深さが明らかに感じとれる。

辛味は全くなく、非常に吸いやすい。

ドローも程よく、煙の量は控えめ。

 

中盤に踏み入ると、旨味を帯びたウッドテイストの柔和な甘さが目立ち始める。

そこへ、スパイシーな喫味が、抜群のタイミングで降り注ぐ魔術的パフォーマンスには、我が鼻舌も唸りをあげざるを得ない。

 

後半にかけては、マイルドな印象が空間の支配者となり、まるで恍惚の門を叩く心地よい調べが聴こえてくるようだ。

 

終盤突入後も、えぐみが出ることなく美味しいばかり。

甘さとスパイシーさが完全に調和した愛あるハーモニーを奏で続ける。

飲み物で舌に残る雑味を洗い流す必要性もほとんど感じない。

それほど素晴らしい後味が持続している。

 

第4コーナーを曲がり、いよいよ結びの段階に入ると、ここへ来てカカオテイストの芳醇な甘さが目立ち始める。

革命家の印象を返上するほど、終始優しい雰囲気を漂わせるまま、130分ほど存分に愉しんで投了となった。

灰を折った回数は、計3回。

時間の流れを感じさせず、まるで王侯貴族さながらの高貴な気分に浸らせてくれた。

 

流石にキューバシガーは、葉巻だけでも十分に愉しめるスペックを有する銘柄が多く、外付けのないシンプルなシガーライフを満喫したいのならば、やはりキューバ産の葉巻を強く推奨する。

ハバノスの気高さを知らずして、葉巻のハの字を讃えることはできないだろう。

 

ちなみに、今回のボリバー ペティ コロナは、2017年1月14日の自分の誕生日翌日の夜明け前に吸ったもの。

1月といえど暦の上では春。

そんな一年の門出にも相応しい、「ヨハン・パッヘルベルのカノン」のような音色のシガーであった。

 

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著/臣咲貴王

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