「王の鼻舌」番外編。
先日の乳卵食品解禁日に伴って飲んだ井筒ワインが余っており、排水管に飲ませてしまうのも心許なく(こころもとなく)、どう始末するか悩んだ末に「ホットワイン」を作ることにした。
レシピを調査した結果、ちょうど家にある材料で作れそうなものを選択。
材料は、
- 井筒ワイン/1杯分
- ラム酒(バカルディ ブラック)/大さじ2杯
- オーガニックココナッツシュガー/大さじ1杯半
- クローブ/3粒
- シナモンパウダー/少々
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以上。
これらをミルクパンに注ぎ、沸騰寸前まで追い込むだけでホットワインは完成する。
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このホットワイン、バスタイムに飲もうと思ったので、葉巻も吸いたかった。
ワインに合う葉巻。
中々イメージが湧かないが、私の経験則からの直感は、「アルカポネ・スイート」を示した。
アルカポネは、私が葉巻に興味を示し始めた数年前に吸っていた着香系のシガリロである。
パッケージに「COGNAC DIPPED」と表記してある通り、コニャックに浸した葉で巻かれた独特なドライシガー。
後述する理由を機に吸わなくなったシガリロであるが、今回は特別に復帰させることにした。
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出来あがったホットワインは、非常にコクのある仕上がりとなっていた。
まず、香りは柔和でスイートな井筒ワインの印象が大きく残っている。
口に含むと、酸味混じりの濃密な甘さが熱と共に舌に染み込む。
ワインの味わいにラム酒のインパクトが加わったその濃厚さは強烈だ。
喉を通過させた後には、ワインの酸味が口腔を優しく慰め、最後にクローブのエッセンスが場を治めるといった具合。
シナモンのニュアンスはあまり感じられなかった。
そして、アルカポネも同時に吸い始める。
このシガリロは、吸い口に正体不明の甘味料が塗布されている様子で、本体を咥えた後の唇を舌でなぞると、如実な甘みが感じられる。
これは、甘さを売りにしたリトルシガーなどによく見られる手法だが、この甘味料が私の持つ食の原理に反するという判断が、私をアルカポネから遠ざけた張本人であるのだ。
だが今回は異例であり、よって、今回の王の鼻舌は番外編となっている。
ラッパーを香ると、コニャックの妖艶さの中にカフェを彷彿させるビターで芳醇な甘さを感じる。
本体は、マシンメイド感溢れる硬質な巻き具合。
火を灯す。
第一声として、コニャックのニュアンスが空間に広がり、ローストされた甘い香りに歓迎される。
喫味に関しては、葉巻感には乏しい。
しかし、ストレートに美味しい。
卑怯な美味しさ。
クッキングされた葉巻特有の卑怯な美味しさだ。
まるで自分で曲を書かないミュージシャンのような皮肉な葉巻。
そして、直感通りホットワインによく合う。
喫煙時間20分。
喫味の変化はほとんど感じなかったように思う。
尚、ホットワインが終わらなかったので、もう一本の追いアルカポネに火を灯した次第。
そして、最後には王林をひと玉頬張って心地よい酔いを覚まし、解禁日の余韻に浸るシガータイムを終えた。
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著/臣咲貴王