xCROWxNILxTAILxCOCKxの約4年半振りの新作となるリング「ibero(イベロ)」の販売を公式オンラインショップにて開始いたしました。
以下、公式ウェブサイト内紹介ページ未公開の画像に加え、書ききれなかったコンセプトと共に本作の解説をしておこうと思う。
クロヒョウリング「ibero」概要
黒豹(クロヒョウ)をモチーフとしたリングibero。
シルバー925の表面全体に燻し(いぶし)処理を施した黒い外観と18金製の眼球、そして、同じく18金によって制作された4本の牙がアクセントとなる作品に仕上がっている。
iberoのコンセプト
作品名「ibero」の由来は、「開放する、自由にする」を意味するラテン語の「Libero」から来ており、頭文字の「L」を取り払って「ibero」ということになった。
なぜLを消したかというと、奪われることによる不自由さを表現する為。
デザインにおいても、クロヒョウの額に巻き付いた無数の棘を持つ荊(いばら)は、拘束されることによる不自由さを表現している。
クロヒョウ(ブラックパンサー)が象徴するもの
iberoのモチーフであるクロヒョウ即ちブラックパンサーは、1960年代後半から70年代初頭にかけて激化した黒人解放運動において台頭したブラックパンサー党のシンボルになるなど、やはり不自由からの開放というテーマに相応しい動物であるように思える。
また、タトゥー文化におけるブラックパンサーの絵柄についても、上記歴史の流れを汲んで「自由、開放、革命」などの意味を持つシンボルとして根強く支持されており、当ブランドxCROWxNILxTAILxCOCKxが掲げる精神性にもやはりリンクするモチーフである。
iberoとホルスの目との関連性
iberoの左目には瞳孔が表現されていない。
この世のあらゆる柵(しがらみ)に例えた荊の鎖を破ろうと藻搔くことによって、目に傷を負い視力を失ってしまった様子を表す為だ。
そんなiberoの左目は、奪われた自由を象徴すると同時に、逆説的には「修復、再生」を象徴するウジャトの目の役割を司っていると言えよう。
そして、そんな状況下においても、太陽の様に灯火を消すことなく瞳孔を宿らせている右目は、ラーの目として機能する。
この様に、自由を奪還するまで決して折れることのない信念を象徴しているかのようなiberoの両目は、古代エジプトの意匠であるホルスの目と関連性の深い機能を有していると言えるのだ。
途方のない制作日数
結果的に、本作は制作着手から原型完成に至るまでに少なくとも一年半程度の時間を要したと記憶している。
勿論、その全ての時間をiberoに注いだわけではないにせよ、ジュエリー作家として一つの作品を完成させる時間としては余りにも長い。
しかしながら、長考の功績として作品の皺(しわ)の一本一本、全ての曲線バランスにおいてiberoを当ブランドの新作たらしめる造形上の意図が存在し、それによって培われた創造力の回路が今後の作品制作にポジティブな影響を与えることは間違いないだろう。
よくやく販売開始にまで至れたことに途轍(とてつ)もなく安堵すると同時に、次なる新作創造に向けてこの歩みの止まらぬよう邁進していければと願う次第。
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著/臣咲貴王