王の鼻舌 ♯10「MONTECRISTO OPEN Club | モンテクリスト オープン クラブ」

MONTECRISTO OPEN CLUB モンテクリスト オープン クラブ

「王の鼻舌」第十回。

 

今回は、キューバ産のシガリロ「MONTECRISTO OPEN Club | モンテクリスト オープン クラブ」。

「コイーバ クラブ」に続くクラブサイズのドライシガーのレビューとなる。

 

ラッパーの香りは、チョコレートのようにまったりとしている。

巻きがしっかりしており、やや硬質な手触り。

 

徐(おもむろ)に火を点ける。

ロースト感溢れる芳ばしさが浴室に広がる。

期待していたより甘さはなく、ややスパイシー寄りな喫味。

しかしながら、全体的なマイルドさがその刺激をカバーしている。

 

中盤になると、時折甘く濃厚な香りが糸を垂らす。

 

そして後半、ペッパー系のスパイシーさが増す。

更に、ラストにかけては徐々にマイルドさが巻き返してきた。

喫煙時間にして三十分足らずと短命のドライシガーながら、喫味の変化を愉しむことができる。

 

全体的には、渋い葉巻という印象を持った。

しかしながら素晴らしく、隙のない賢人のようなドライシガーである。

 

忌々しき夏もとうに鎮まり、いよいよ気候が寒色を帯びてくると、葉巻が一層美味しく感じるシーズンの到来となる。

私が葉巻を愉しむのは半身浴中と決まっているので、尚更そう感じるのだ。

十月初旬から四月末までといったところだろうか。

いわば隷属的な我が現世における数少ない愉悦であるシガーライフ、その恩恵をマキシマムに受け取ることのできる季節がやってきたのだ。

 

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著/臣咲貴王

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