13周年アニバーサリーリング「xNIL」販売開始

今夏販売開始予定と豪語していた新作リング「xNIL(エックスニル)」。

本日、8月30日(Fri.)に崖っぷちの有言実行である。

台風10号の暗雲に隠れてひっそりと販売開始。

 

13周年アニバーサリーリング xNIL 王 ハートのキング

xNIL | xCROWxNILxTAILxCOCKx公式ウェブサイト

 

不吉な13th Anniversary

本年2024年は、xCROWxNILxTAILxCOCKx(クロウニルテイルコック)の13周年ということで、本作はその記念作品となっている。

5周年や10周年などは意識してこなかったのだが、「13」という不吉な数字は、当ブランドの世界観を遂行する上で決してスルーできない魔力を持ち合わせており、よって13周年のアニバーサリーリングを制作する運びとなった背景がある。

 

「xNIL」の中に隠された13

作品タイトルの「xNIL」は、当ブランド名の「xCROWxNILxTAILxCOCKx」から「xNIL」を抜粋したものであり、「x」、「Nの縦画」、「Iの縦画」、「Lの縦画」を抽出するとローマ数字の「XIII」すなわち「13」が姿を現すという発見に由来している。

ちなみに、xTAILでも同じロジックが通用するのだが、作品自体のどこか空虚なニュアンスをタイトルで伝える為には、無を意味する「NIL」に寄るのが適切であると言えよう。

 

13に関連づけられたアイディアとデザイン

母体とするモチーフは王様。

当ブランドのキャッチコピーである「王に頭蓋(ずがい)を、人類に吐瀉物(としゃぶつ)を」から抽出した「王」を採用している。

また、「王」という漢字は、漢数字の「十」と「三」を重ね合わせることでも表現できることから、最適なモチーフであると判断した。

 

王の周囲には、「蛇の王冠」、「蝙蝠(コウモリ)の耳」、「カラスの羽根飾り」といった不吉なサブモチーフが散りばめられており、不吉の王たるオーラに追い討ちをかけている。

 

また、トランプにおける「ハートのキング」の要素も練り込まれており、リングの全体像はハート型を模している。

更に、リング裏に仕込まれたK18製の「剣」は、自死の象徴とされるハートのキングの絵柄の中で王が自らの頭部に突き刺しているように見える剣であり、この王に口髭が無いのも、ハートのキングの絵柄に由来しているからである。

 

ワックス原型

これは今年5月頃だっただろうか、制作途中のワックス原型。

完成度約80パーセント時点。

ワックス原型 xNIL 王 ハートのキング

 

完成品画像

2024年8月完成。

13周年アニバーサリーリング xNIL 王 ハートのキング

13周年アニバーサリーリング xNIL 王 ハートのキング

13周年アニバーサリーリング xNIL 王 ハートのキング

 

13周年アニバーサリーリング xNIL 王 ハートのキング

13周年アニバーサリーリング xNIL 王 ハートのキング

造形レベルにおいては、xCROWxNILxTAILxCOCKx史上最高の出来であると自負しており、経年における私自身の成果として本作を愉しんでいただければと思う。

どうにか夏の間に間に合い、胸を撫で下ろす夏の終わり。

 

大いに詰め込まれたデザインコンセプトからなる13周年記念リング「xNIL」。

ご購入は、公式オンラインショップからお願いいたします。

13周年アニバーサリーリング xNIL 王 ハートのキング

 

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著/臣咲貴王



【フルオーダー】ヤドリギモチーフのピンキーリング K18×Silver925

今回は、直近で制作していたフルオーダー作品の紹介及び備忘録。

ヤドリギモチーフのピンキーリング K18×Silver925

 

デザインとしてのヤドリギ

オーダー時点で具体的なデザイン指定はなく、他と被らないレディース向けのピンキーリング(小指に着用する指輪)ということで、「ヤドリギのデザインはどうか?」とこちらから提案した。

「忍耐、克服、征服」の花言葉を持ち、ヨーロッパにおいては古くから「神聖な樹」、「幸運を呼ぶ樹」などと認識されているヤドリギ。

地面に根を張ることなく、他の樹木の幹や枝に根を張り成長する半寄生植物であり、その珍しさや植物としての造形美が私の設計意欲を掻き立てたのである。

ヤドリギモチーフ

 

無二の完成品

そしていきなり完成品。

ヤドリギモチーフのピンキーリング K18×Silver925

 

制作は安定のロストワックス製法にて。

使用地金はK18(18金イエローゴールド)がメインで、Silver925製のヤドリギの実をロウ付けしてある。

 

ヤドリギモチーフのピンキーリング K18×Silver925

ヤドリギモチーフのピンキーリング K18×Silver925

ヤドリギモチーフのピンキーリング K18×Silver925

デザインにおいては、ヤドリギ本来の連続性を母体としつつも、どの角度から見ても違う表情に見えるようなランダム性を全体に取り入れている。

 

ヤドリギモチーフのピンキーリング K18×Silver925

総重量約2.4グラムからなる唯一無二のピンキーリング。

無事産み落とせて安堵。

 

高騰し過ぎたゴールドの行く末

今回のオーダー品においても使用した18金、原型制作開始から数か月の間にもゴールドの価格は上昇し続け色々と苦労した。

全体的な相場観では高止まりといった印象の金相場。

個人的には、せめて1グラム8,300円辺りまでの中期的な調整を挟んでほしいものだが、雨後の筍のように湧いてくる地政学的リスクを鑑みるに、まだ上昇する蓋然性が高いのも事実。

しかしながら、上値が青天井であることを踏まえつつも、現在価格が高値圏であると認識する場合、10年単位の長期では1グラム4,900円辺りまで下落しても不思議ではないチャート形状をしているのも事実かと。

要は、制作原価を気にすると作品制作、特に新作への着手に二の足を踏まざるを得ない今日この頃なのである。

近頃はこの事ばかり書いている気がするが、貴金属を扱う当ブランドにとってはそれほど重要な要素なのだ。

 

新作予告

そんな中、当ブランドxCROWxNILxTAILxCOCKx(クロウニルテイルコック)の13周年アニバーサリーリングの制作が現在順調に進行中。

8月末には販売開始の予定でいるので、ご期待を乞う。

 

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著/臣咲貴王



【廃番】スカルリング「GEBURAH」受難のサイズ直し

2020年に販売終了となった宇宙一のスカルリング「GEBURAH(ゲブラー)」。

あれ以降も、最終在庫として残っていた1点を現在までデザインフェスタでのみ販売していたのだが、先日、その個体がお客様からの直接のご注文によって完売となった。

そして後日、巡り巡ってそのGEBURAHのサイズ直しの依頼を受けたのだが、これが想定外に難航してしまった。

廃番スカルリング「GEBURAH」サイズ直し

 

依頼内容

ご依頼は、17号から23号へのリサイズ。

200グラムを超える銀塊である当該スカルリングをここまで大きくサイズ変更することは、制作者としては受難の極みである。

そして事実、それは想像を悠に超える所業であったのだ。

 

手術開始

通常のリングサイズ直しにおいて、サイズを大きくする場合には、リングの一部分を切断してその切れ目を拡張し、開いた空間に新たな地金を嵌め込んでロウ付けをするというのがスタンダードである。

よって何はともあれ、GEBURAHにおいてもまずは糸鋸(いとのこ)でリングを開腹する。

 

そして、外科医気取りのまま拡張作業へと移るのだが、生まれながらに頑丈過ぎたGEBURAH。

木槌(きづち)で打てども打てども23号に届かないのである。

焼き鈍し(なまし)ては叩き、また焼き鈍しては叩き…。

終いに取り出したる金槌をもってしても23号には届かない始末。

 

暗雲と挫折

根気を尽くせど、スタンダードな作業工程では到底成し遂げられる所業ではないと悟る。

投げ出したくとも、私には生みの親としての責任があり、やむなく依頼主には作業期間延長願いを送信し、帝王切開さながらの別の手段を探ることとなった。

 

導き出した術式

そして私が導き出した方法論は、リング内側に更に2箇所の切れ込みを入れて拡張を促すというもの。

廃番スカルリング「GEBURAH」サイズ直し

 

切り込む深さによっては、後のリング自体の耐久性に影響が出かねないため、慎重に慎重を重ねる。

このアイディアは上手く機能し、なんとか23号に相当するサイズまで到達させることができた。

 

そこまで来れば、後は拡張部の空間と2箇所の切れ込み部分に合わせたシルバー925素材を嵌め込んでロウ付けをするだけ。

GEBURAHの退廃的なオーラに見合うように、歪なままの空間形状に合わせた素材を制作した。

廃番スカルリング「GEBURAH」サイズ直し

廃番スカルリング「GEBURAH」サイズ直し

 

そして研磨、仕上げ作業を経て完成。

 

血と苦悩の完成品

実物リングの構造上、どうしても真円に成形することが出来ず、やや楕円形状の仕上がりとなっている。

サイズ棒での計測上は21号であるが、着用感は23号に相当する。

廃番スカルリング「GEBURAH」サイズ直し

廃番スカルリング「GEBURAH」サイズ直し

責務は果たした。

 

宇宙一を超える構想

ここまでの重量の指輪は世にはそうそう存在せず、ニッチな需要においてもう二度と手に入らない当該リングの希少性は、今後高止まりとなるわけだが、私の脳の引き出しにはまだ構想がしたためられている。

GEBURAHを凌ぐスカルリングの構想が。

過去の己を超越する怪物の朧げな姿、それを具現化することだけが私が私に与えた私の生きる意義なのだ。

 

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著/臣咲貴王



2023年新作スカルリング「CHOKHMAH」の全貌

デザインフェスタvol.58にて特別先行発表された新作スカルリング「CHOKHMAH(コクマー)」。

昨日、11月25日(Sat.)に公式オンラインショップにてめでたく販売開始となった。

よって、今回はこのスカルリングCHOKHMAHについて、未公開画像と共に少々深く掘り下げこうではないか。

スカルリング「CHOKHMAH(コクマ―)」 xCROWxNILxTAILxCOCKx Silver925 K18

スカルリング「CHOKHMAH(コクマ―)」 xCROWxNILxTAILxCOCKx Silver925 K18

 

本作は、カバラスカルリングコレクションとして展開し続けているシリーズの第9作目となるスカルリングである。

ちなみに、第1作から第7作までのスカルリングはオンライン上では既に販売終了となっており、全てのコレクションを手に入れる機会は現在皆無となっているため、一つでも所有しておられる方は強運と言える。

尚、最終在庫の現品が数種存在しており、イベントなどへの出展機会に入手できる可能性もある。

そして、最後の10作目はまだこの世には吐き出されておらず、デザインすら未定となっている。

 

カバラのシンボルとしての「生命の樹」において、第2セフィラに位置するコクマーは「知恵」を意味しており、男性原理の象徴として「至高の父」とも称される。

そのことから、造形においても男性的で動的なインスピレーションが直接的に込められており、女性原理に分類されるスカルリング「BINAH(ビナー)」と対比するとその無骨さが際立つのではなかろうか。

スカルリング「CHOKHMAH(コクマ―)」 xCROWxNILxTAILxCOCKx Silver925 K18

 

大きく口を開けた頭蓋骨、その口の中に指を通して装着するという大胆なデザインとなっており、そのダイナミズムを飾り立てる繊細な装飾が存在することによって、男性性の裏側にあるナイーブな性質を表現している。

頭蓋骨の額には山羊の目をモチーフとした第三の目、すなわちサードアイが埋め込まれており、その眼球部位には18金を使用。

山羊は異教の神とされる悪魔バフォメットの象徴でもあり、そこには当ブランドxCROWxNILxTAILxCOCKxの悪魔的な世界観が反映されている。

スカルリング「CHOKHMAH(コクマ―)」 xCROWxNILxTAILxCOCKx Silver925 K18

スカルリング「CHOKHMAH(コクマ―)」 xCROWxNILxTAILxCOCKx Silver925 K18

 

総重量は118.4グラム(リングサイズによって多少変動あり)。

使用地金はSilver925/118グラム、K18/0.4グラムとなっている。

マスター原型のWAX重量ですら13.2グラムあったのだから、その空洞に貴金属を流し込めば100グラムをゆうに超える販売商品となるのは当然と言えよう。

以下はワックス原型制作時の画像。

スカルリング「CHOKHMAH(コクマ―)」 xCROWxNILxTAILxCOCKx ワックス原型

 

ゴム型の大きさも半端ではない。

スカルリング「CHOKHMAH(コクマ―)」 xCROWxNILxTAILxCOCKx ゴム型

 

xCROWxNILxTAILxCOCKx公式ウェブサイトでは、更に詳細な作品解説が読めるので是非。

ではこの辺りで紹介を終えておこう。

 

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著/臣咲貴王