私が彫金の世界に26.
専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジに入学以降、予て(かねて)より私を魅了するモチーフであった「ドクロ」の魔力に未だ依存する我が髑髏ワークの集大成、世情の常識論に唾を吐きつける史上最悪のスカルリングが完成した。

名を「KETER(ケテル)」という。
以下、デザインを一新した公式ウェブサイト上には未公開である蔵出し画像を交えて本作概要を解説していく。
デザイン概要
本作は、「BINAH(ビナー)」、「CHOCHMAH(コクマ―)」に続くカバラスカルリングシリーズのラストを飾る作品であり、デザインにあたって両者の流れを汲んだ結果、スカルに山羊の頭骨をあてがうという猟奇的融合を遂げた。


当然の如くサードアイ(第三の目)もあしらわれており、前作CHOCHMAHにおいてその眼球は山羊のものであったが、今作の眼球はヒトのそれであり、すなわちKETERはやや論理の通用するお相手であるということを「進化」のエッセンスとして暗喩している。

また、CHOCHMAHのデザインでは完全に開き切って固定されていたブルータルなお口であるが、本作KETERにおいては下顎が本物の人間と同等の領域で可動するギミックが施されており、着用や鑑賞の向こう側にある欲求を充足させることができるはずだ。

信念に基づいた制作コンセプト
総重量約173グラム。
採算がどうだとか、ターゲット層がどうだとか、どういうマーケティングをするだとか、そんなうんざりするジャガイモの戯言など、このチート呪物にはまるで通用しない。
世情に媚びず、己の精神的抑圧と創造欲求を貴金属173グラムの中に余すことなく封じ込めた。


凡庸(ぼんよう)派の常套(じょうとう)手段である材料費を削るためのリング内側の裏抜き行為も一切行なっていない。
貴金属価格が高騰している昨今にも関わらず、この重貴金属の怪物を世に放つというスーサイダルの極み行為。
私を怒らせるとこういうことになるのだ。


生まれながらの王
ユダヤの神秘主義思想カバラにおいて、各セフィラの頂点に君臨する「KETER」は「王冠」を意味しており、その情報をインプットされたこのスカルリングは存在そのものが王の顕現(けんげん)である。
八方に広がる角は、正しくKETERの抽象的イメージを有機的ラインで悪魔的に展開したものであり、この角のシルエットを王冠の象徴としてバランス良く完成させるまでに己の中でかなりの紆余曲折があった。
しかしながら、この作品を完成へと至らしめ世に吐き出せた事実に感慨もひとしおである。

作品のご購入は公式オンラインショップにて願い申し上げます。
■KETER | xCROWxNILxTAILxCOCKx 公式オンラインショップ
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著/臣咲貴王








