昨今の原油価格暴落、そして、SARS-CoV-2の感染拡大を皮切りに、世界の金融市場が総悲観方向に舵を切った凄惨(せいさん)たる今日この頃。
混沌の渦中(かちゅう)に完成したフルオーダーメイドペンダントトップ作品について記録を残しておく。
本作は、昨年11月に承ったフルオーダー作品となる。
依頼内容は以下の通り。
- 三つの頭を持つギリシア神話の怪物、冥界の番犬である「ケルベロス」をモチーフとするペンダントトップ
- xCROWxNILxTAILxCOCKxの世界観に合ったスカル、蛇、聖母、松果体、クロス等のアレンジは可
- メインマテリアルの硫化銀に対し、K18(ゴールド)をワンポイントで使用
- 3×3センチメートル程度の大きさで、過度な凹凸のないもの
- 入浴や睡眠時含め、常時着用の酷使に耐えうる厚みを持たせる
- 裏面は軽量化のための裏抜きをせず、デザインには逆五芒星とxCROWxNILxTAILxCOCKxのブランドロゴを用い、太陽車輪の刻印を打刻する
というもの。
いただいたメールオーダーの文面から得たインスピレーションに修正を重ね、完成したデザイン画がこちら。
地獄の業火を背負うケルベロスをイメージしており、顔の半分が頭骨になっている頭、同じく半面スカル且つ額にサードアイを持つ頭、最後に長い牙を持つ頭の三頭で構成されており、それぞれに茨の棘をイメージした首輪が嵌められている仕様。
また、尻尾には蛇の鱗のテクスチャーを施している。
当ブランドxCROWxNILxTAILxCOCKxの世界観をふんだんに反映させたデザインとなった。
ワックス原型制作に突入する。
ロストワックスによるジュエリー制作において、このワックス原型制作の作業が最も多くの時間を要する。
二次元のデザイン画を三次元上に忠実に具現する作業であり、すなわち意思なきマテリアルに作家の意図を吹き込む神聖な創造作業である。
数ヶ月を費やして、ワックス原型の完成。
紫色部分がシルバー(Silver925)になる部位、黄緑色の首輪部分をゴールド( K18)にする。
逆五芒星を基調とした裏面。
鋳造(ちゅうぞう)工程、いわゆるキャスト工程については、平常通り有限会社トーヨー精工に依頼。
キャストは無事に成功し、地金となったケルベロスが手に。
鋳造後の実制作においては、研磨作業、金パーツと銀パーツのロー付け作業、仕上げ作業を概ね順調に通過し、最後にシルバー部分の表面全体を黒く燻して無事に完成となった。
仕上げ前。
そして、全表面に燻し仕上げ(硫化処理)を施した完成品。
黒と金、xCROWxNILxTAILxCOCKxの色だ。
今後、当ブランドでは旧作の販売を終了することによって、ブランドで扱う作品の全てがこの硫化銀とゴールドのバイカラーになる。
明確な理論の下に打ち立てたコンセプトであるが故に、オーダーメイドにおいても今後はこの色彩を推していきたい。
総重量約37グラム。
使用地金は、Silver925が約35.5グラム、K18が1.5グラムとなっている。
ご用命、誠にありがとうございました。
さて、グローバリズムは冥府(めいふ)の鍋底へと陥落し、日本市場においても閉店ムードに拍車がかかる直近において、我々人類、すなわち戯け(たわけ)共は、蔓延する恐怖とフェイクについて己自身で解析し、自分なりの優位な解答を導き出す必要があるだろう。
さもなくば、この支配的な金融資本主義社会によってビジョン化された獰猛(どうもう)なる業火で踊り焼きにされるのが関の山。
パンデミックはきっかけに過ぎず、今までとこれからの全てにおいて、己の道を創造することによってのみ我々は悪魔を克服可能なのだ。
慄く(おののく)無思考型の戯けた魂など、ケルベロスは決して見逃さないだろう。
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著/臣咲貴王