金と硫化銀の統合にみる悪魔的シンボルの役割

xCROWxNILxTAILxCOCKx for DEVIL

11月28日(Mon.)に販売開始となった、悪魔的スカルリング「BINAH」

それと共に、xCROWxNILxTAILxCOCKx for DEVIL 公式ウェブサイトのトップページもリニューアルされ、ブランドのニューラインも少しずつ様になってきた。

そこで今回は、ニューライン「for DEVIL」のコンセプトについての補足記事としたい。

 

悪魔的な造形をシンボライズすることによって、悲観的な厭世の感情に視点をフォーカスする。

そして、貴金属の神秘性を踏み台として、もう一段階高い次元からそれらマイナスエネルギーを捉え、対極に存在するプラスエネルギーをダウンロードすることによって、着用者に大いなる力を与えることをコンセプトのひとつに掲げているxCROWxNILxTAILxCOCKx。

そしてfor DEVILの領域では、硫化銀という、対の存在である希少マテリアルを使用することで、その意図はより深く具現されている。

 

解説の前置きとして、予備知識を記しておく。

「陰陽太極図(いんようたいきょくず)/太陰対極図(たいいんたいきょくず)」といって、真円の中に陽を表す白と陰を表す黒の2つの勾玉(まがたま)を互い違いに収めたようなデザインの古くから存在するシンボルがある。

陰陽太極図

 

交わる二匹の魚にも見えることから、「陰陽魚(いんようぎょ)」とも呼ばれるこのシンボルは、この世の正と負のエネルギーの均衡を表しているとされる。

この図案における正負のバランス感覚は、現世の最も単純な原理であると捉えることが可能であり、逆を言えば我々にかけられた呪いであるかのようにも思えてならない。

「禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし)」、プラスの出来事が起こればその反動でマイナスの出来事が生じるということを表す諺(ことわざ)がある。

私達の人生がその起伏から逃れ、プラスだけの世界に抜け出すことを阻むように、脳裏に強烈なジンクスを焼き付ける魔力をもった法則であると私は捉えている。

その魔力は巨大なもので、その正負のジンクスから解放されることは不可能なのかもしれない。

 

しかしながら、次善策として、あらゆる事象に対してプラスとマイナスのどちらでもないニュートラルな状態に指針を保つことで、安定を得ることは可能だ。

陰陽太極図にはまさに、それらの陰陽のバランスがとれた完全な精神状態が表現されているともいえる。

 

ここで、当ブランドの話に戻る。

それらプラスとマイナスを囲む統合的な概念の象徴として、金と硫化銀を一つの作品の中に混在させ、独自のゲシュタルトを創り上げることによって、より大きな視点の芽生えの手助けをすることこそが、xCROWxNILxTAILxCOCKx for DEVILの役割であると考えているのだ。

マテリアルにおいては、神秘性の高いゴールドを陽の象徴、黒く燻された硫化銀を陰の象徴として捉えると、そのコンセプトを容易に理解できるだろう。

 

人は、アクセサリーを身に着けることで意識や気分を上昇させようとする。

多くの場合、それは陰を陽へと傾けようとする願望によってなされる行為であるだろう。

しかし、残念ながらxCROWxNILxTAILxCOCKx for DEVILが提供する作品には、陰を陽へと傾けるための一時的なエネルギーは込められていない。

その証拠に、当ブランドがモチーフとする造形や全表面に燻を施した硫化銀から放たれるオーラは言わば悪魔的であり、むしろ人々を陰へ傾けようとしているようにも捉えられるからである。

 

だが、使用している貴金属自体のエネルギーが陽の側面を担うことで陰と陽の均衡が保たれている。

そこには、精神世界における陰陽を統合し半永久的に安定させるという大いなる哲学を実現するための膨大なメッセージが込められているのである。

リゾーム化した茨の道を照らす一筋の新たな芸術の道として。

 

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著/臣咲貴王



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