王の鼻舌 #15「MONTECRISTO MEDIA CORONAS | モンテクリスト メディア コロナス」

MONTECRISTO MEDIA CORONAS モンテクリスト メディアコロナス

「王の鼻舌」第十五回。

 

今回の一本は、「MONTECRISTO MEDIA CORONAS | モンテクリスト メディア コロナス」。

 

何でもない一日の終わりの早朝に、これまでの私にとってはコストが高めな一本ではあるが、この程度の一本を灰にして然るべきであるという自己イメージを喚起しながら火を灯した。

 

調湿が上手くいっている様子で、手にした時にシフォンケーキのような柔らかみを感じる。

品があり、控えめな香りのラッパー。

 

着火。

色彩で例えるなら、鼈甲(べっこう)のような濃密な甘さがいきなり広がる。

僅かにペッパーの系統の刺激も混じる。

ドローはベストで、完璧な吸い心地。

 

クリーミーで柔らかい紫煙に包まれ、しばしマイルドなひと時が続く。

甘い豆乳ティーが非常にマッチする。

 

そして、至福の経過によって、そのマイルド感が徐々にローストされていく。

 

後半に入るとやや刺激が増し、そこに蜂蜜のような甘さのレイヤーが重なる。

 

終盤は、濃厚さに白い靄(もや)がかかった印象の圧倒的なクリーミーさが、偉大なる優しさで私を歓迎するヤハウェ対応には感動すら覚える。

 

灰皿を立ち昇る極上のインセンスを惜しみながら、約45分で投了となった。

瞬く間に吸い終わってしまっていた印象。

その吸い足りなさ故か、生涯のパートナーに指名しても惜しくないレベルの紛うことなき一本であると評価できるプレミアムシガーだった。

 

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著/臣咲貴王

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