「神聖なるプレイリスト」第七回。
今回は、「the GazettE(ガゼット)」のパート2。
重いバンドサウンドをコアに持ちながらも、ジャンルの垣根を越えた楽曲の制作意図が顕著に現れている本バンドの中でも、全体的に暗くしっとりとしたテンポで展開される曲を集めリストを組んだ。
春めく季節感を漂わせながらも、その対比としての湿気を帯びた仄暗いストーリーが世界観を彩る。
では再生。
- 「剥離」(アルバム「DIM」(iTunesから入手)収録曲)
- 飼育れた春、変われぬ春(アルバム「斑蠡~MADARA~」収録曲)
- Bath Room(アルバム「NIL」(iTunesから入手)収録曲)
- 「子宮」(アルバム「DIM」収録曲)
- 泣ヶ原(アルバム「DIM」収録曲)
- 花言葉(アルバム「DISORDER」収録曲)
- DRIPPING INSANITY(アルバム「DIVISION」(iTunesから入手)収録曲)
- 影踏み(アルバム「DIVISION」収録曲)
- 紅蓮(アルバム「DIM」収録曲)
- D.L.N(アルバム「NIL」収録曲)
斑蠡〜MADARA〜 / the GazettE
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一曲目、「「剥離」」。
SE。
忘れてしまいたい記憶の中へと、魂は深く彷徨い込んでいく。
尚、以下本プレイリストは、母子の物語としてそれぞれの視点から曲が展開されることとなる。
二曲目、「飼育れた春、変われぬ春」。
母の視点。
本プレイリストにおけるこの曲は、短絡的な”男性”の快楽に弄ばれた末に身籠った子に対して、自らの”先逝く不幸”の許しを乞うという一人の人間としての母の弱さを象徴するナンバー。
三曲目、「Bath Room」。
子の視点。
イントロの”湿った”バスルームに滴る水滴の音が、事の顛末の余韻を漂わせる。
まだ小さな”僕”を残したまま、”頭をかしげて眠って”しまった”あなた”。
本曲は、物語として本プレイリスト全体を見たときの結末である。
四曲目、「「子宮」」。
SE。
母親の記憶の中で残響する我が子の泣き声。
五曲目、「泣ヶ原」。
母の視点。
本音という名の弱さを”禁句”とする”浅い””泥濘”を自らの居場所であると”見間違える”ことによって、”私”自身も”ソレ”と同じように”汚れ”ていることを知る。
そして、その”虚無と向き合う度”に”溺れ”、最後には、”血迷い””孤独と散る”。
母親が残す最後の言葉が、曲の最後に流れるタイピング音で綴られている。
六曲目、「花言葉」。
母の視点。
出会いの回想。
“愛され”ていると感じていた”感触”も、”醜き””欲が生んだ””短命”の”光”でしかなかった。
七曲目、「DRIPPING INSANITY」。
子の視点。
三曲目の「Bath Room」に残された”僕”の心情として配置。
テンポや曲調にも「Bath Room」と共通のものがある。
排水口へと”宛も無く流れてく””あなた”の”赤”い血を”思い出”に重ね合わせる。
八曲目、「影踏み」。
子の視点。
前曲の”濡れた”舞台から”乾いた足”で”明日”へ歩き出そうとする。
“剥がれぬように”母の口紅(死化粧)が”引”かれることで、皮肉にも”二人の””影”(孤独)が”やっと重なった”。
九曲目、「紅蓮」。
母の視点。
この曲は、五曲目「泣ヶ原」のアウトロに流れるタイピング音で綴られた母の子へ向けたメッセージの内容としてセレクトした。
しかし、ここで母が呼んでいる”アナタ”は、ここまでで登場していた”僕”とは別の人物である。
この”アナタ”とは、まだ”繭”(子宮)の中にいる胎児のことであり、ここに本プレイリストのストーリーの真実が見え隠れする。
そして、四曲目の「子宮」で母親が聞いていたのは、この”アナタ”の泣き声であると解釈することによって、”僕”の”悲しみ”をより深い位置へと落とし込む。
こうして、”取り戻せぬ春”の物語が終わっていく。
そして十曲目、「D.L.N」。
母の視点。
羊数え歌(“Song of the sheep”)の如く永遠に続いていくように思える暗い人生。
それは、生まれた以上決して消えることのない自らの過失に対して、死という弱き選択をもって償うことなどできるはずもなく、その行為自体が自分自身の未来すら永遠に否定し続ける行為であるということを本能的に知っているからだ。
以上。
陰鬱な愛の影を追い続ける哀れなストーリー構成となったが、やはり全体的に春めいた統一感があるプレイリストとなった。
ということで、今回のプレイリストも再生終了。
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著/臣咲貴王