「神聖なるプレイリスト」第三回。
今回は、「lynch.(リンチ)」。
広義にはヴィジュアル系にカテゴライズされながらも、硬派なメタル調サウンドと空間を支配するような篭ったニュアンスのシャウト、デスボイスが魅力。
要所に織り込まれた艶のあるメロディーも整頓された独特の雰囲気を持っており、系譜に属さぬ一匹狼的な強さを感じるロックバンドである。
では、一先ず再生しよう。
- D.A.R.K.(アルバム「D.A.R.K. -in the name of evil-」(iTunesから入手)収録曲)
- I’m sick,b’cuz luv u.(アルバム「THE AVOIDED SUN」収録曲)
- I BELIEVE IN ME(アルバム「I BELIEVE IN ME」(iTunesから入手)収録曲)
- -273.15℃(アルバム「I BELIEVE IN ME」収録曲)
- BE STRONG(アルバム「EXODUS-EP」(iTunesから入手)収録曲)
- らせん(アルバム「greedy dead souls」収録曲)
- TOMORROW(アルバム「GALLOWS」(iTunesから入手)収録曲)
- CULTIC MY EXECUTION(アルバム「SHADOWS」収録曲)
- STARZ(シングル「enemy」収録曲)
- prominence(アルバム「THE AVOIDED SUN」収録曲)
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以上。
ミディアム曲が3曲入っているため、しっとりとした印象のプレイリストとなったが、lynch.の主要な要素であるラウドなトラックも随所に光らせた。
以下解説。
一曲目「D.A.R.K.」。
本プレイリストの導入として、ゆりかご的な位置づけで配置したスローテンポのハードロックナンバー。
ヘヴィネスなバックサウンドに、メロディアスなクリーンボーカルが乗せられた曲。
二曲目「I’m sick,b’cuz luv u.」。
収録アルバムである「THE AVOIDED SUN」の二曲目に収録されている曲で、一曲目の「liberation chord」と共にこの曲を初めて聴いたとき、その衝撃に思わず笑みを浮かべてしまったことを憶えている。
サビ部分のコーラスとシャウトの掛け合いが恍惚を煽る。
尚、2015年に発売されたベストアルバム「10th ANNIVERSARY 2004-2014 THE BEST」(iTunesから入手)には、両曲の再録音バージョンが収録されている。
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三曲目「I BELIEVE IN ME」。
全体としてキャッチーな曲でありながらも、メタル要素の濃いギターリフが心地よい。
“流れ死にゆくエメラルド”という言葉選びが、アーティスティック且つ秀逸。
四曲目「-273.15℃」。
全編に亘るシャウト曲。
1分25秒からのスピーディーで無機質なツインギターによる間奏部分が、個人的には壺。
-273.15℃とは、「絶対零度」のことであり、つまり、物質の絶対温度として計測し得る最低の温度(実際には到達不可能とされる摂氏温度)のことである。
五曲目「BE STRONG」。
ポップスといっていい一曲だろう。
メロディアスで、短編ドラマのような構成。
六曲目「らせん」。
単調なリズムと機会的な冷たさの中に精妙な熱量を感じるlynch.初期の曲。
七曲目「TOMORROW」。
前曲アウトロのベースソロが終わると同時にフィードインしてくるイントロがベストな曲順としてマッチする。
Aメロのシャウトから一転して、突き抜けるようなサビのメロディーへと移り変わるlynch.らしい一曲。
八曲目「CULTIC MY EXECUTION」。
陰と陽のコントラストが目立つダークネス曲。
語りとグロウルのみという無色の歌構成でありながらも、”生と死の螺旋”を彷彿させる曲展開がドラマティック。
サビのグロウル部分に登場する“犍陀多(かんだた)”は、芥川龍之介の短編小説「蜘蛛の糸」に登場する地獄に堕ちた主人公のこと。
“未来が僕を処刑する”や、“弱者に捧げるメメント・モリ”などのワードセレクトには恍惚すら覚える次第。
九曲目「STARZ」。
“光り輝ける再生”という歌詞通りのスパーキングな印象を持つ曲。
同曲のリレコーディングバージョンがベストアルバム「10th ANNIVERSARY 2004-2014 THE BEST」(iTunesから入手)に収録されており、どちらを選択するか迷ったが、本プレイリストの世界観としては、シングル「enemy」の収録バージョンが相応しいと判断した。
十曲目「prominence」。
静寂且つ壮大であり、シンプル且つ複雑な曲。
ラストで、フェードアウトしていく旋律の後に残されるエフェクトの聴いた鳴きの電子的ノイズが、太陽風のプラズマを表現しているように感じられる。
宇宙に生じる言葉のない現象そのものを音楽的に捉えたような余韻を残し、幕を引く。
リスト全曲を通して聴いた後に残る全体のイメージとしては、超新星の爆発過程を眺めているような印象だろうか。
ということで、今回のプレイリストも再生終了とする。
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著/臣咲貴王