およそ8年間使用してきた大切なノートパソコンがとうとう使用不能になった。
私が激昂(げきこう)に任せて張り手の刑を執行したことが直接的な原因だ。
この者は以前より起動が遅く、作業中にも再起動させる場面が頻発していた次第で、慢性的に蓄積されていた私のフラストレーションがピークを超えたのだ。
あれは煙だったのか埃だったのか、とにかくそのような何かを彼は吐き出し、以降自身の機能を放棄した。
10月28日の出来事だ。
関係性とは冷酷なもので、長年連れ添ったからといってその離別が必ずしも円満に終わるとは限らない。
本性は慈悲とは無縁の代物であり、機能の切れ目が縁の切れ目なのである。
まあ、本来ならばとうに減価償却を終えており、巷で言われるところのPCの平均寿命である5年を超えて生き長らえたことを思うと、大往生なのではなかろうか。
清々した。
さて、日本放送協会の独裁的な運営方針に対して反体制派である私は、当然テレビジョンセットなど持っておらず、よって、PCの死体と共に独り暮らす部屋は必然的に静かなものだ。
画像編集もできないので、このブログやウェブサイトの更新もできず、よって当然のごとく新しくパソコンを購入する運びとなるわけだ。
ちなみに、私はこれまで東芝のdynabookというシリーズのノートパソコンしか購入したことがなかった。
また、それらは全て情報弱者な私が大手家電量販店で購入したものだったが、今回のノートPC新調にあたっては、楽天市場を利用することとした。
徐(おもむろ)にサーチし、直感的に選んだのはhp(
ブラックカラー、モニターサイズ15インチ以上、10万円以下、ある程度負荷のかかる作業にも耐え得るCPU性能(Ryzen 5 3600X)とメモリ(16GB)という私的絶対条件をクリアしており、それに加えて指紋認証、タッチパネル、Bluetooth、モニターを360°回転させてタブレット形式での使用が可能であったりなど、怪しいほど夢の膨らむモデルだ。
少なくとも、8年前の機種とは比べものにならない程の贅沢品であり、コストパフォーマンスまで優れているという霹靂(へきれき)に私は打たれ、二日後に注文を確定させた。
5と0のつく日は楽天ポイントが5倍なのだ。
ちなみに、私がデスクトップパソコンではなくノートパソコンを選ぶ理由は、デスクトップPCに比べてノートPCの方が圧倒的にミニマルであるからだ。
私は、生活空間の余白は人生における余裕に比例すると考えており、よって小さなボディの中に多機能が詰まった製品に惹かれる傾向がある。
その割には心が余裕を見失ってdynabookに張り手を見舞ってしまったわけだが、まあ、物が少ない方がメンテナンスに割かれる時間の節約にもなり、ひいては生活空間を快適且つ清潔に保つことが容易となるのである。
こちらは亡骸となったdynabookの様子。
目立った外傷はなく、とても死んでいるとは思えない。
ちなみに、内蔵スピーカーは数年前に壊れて音が出なくなっており、外部スピーカーを接続してまで延命させていたdynabook。
これにて永遠の離別となる。
そして11月7日。
遂にhp ENVY x360 15が我が手中に収まった。
設置後。
非常に馴染んでいる。
起動も笑うほど即座で。
とにかくパソコンの色を黒にしたい。
私の張り手によって、奇しくも長年の夢が叶えられたのだ。
内在意識がもたらした渾身(こんしん)の張り手によって。
画像では伝わらないが、実際はナイトフォールブラックといって少しブラウン掛かった色ではあるものの、そこは目を瞑(つぶ)ろうではないか。
何故か白の時代があって、当該のdynabook然り、作業机然り、iPhone然り、黒くなるのに随分と時間を要した。
だが、これでようやく最後の黒きピースが揃ったのである。
今は黒。
やはり黒。
そして金だろう。
インターネット上で購入して正解だった。
家電量販店のそれとは違い、デスクトップにサービスと称する無数の不毛なソフトウェアが一切インストールされていない点が素晴らしいのだ。
また、これは時代の流れなのか、当該のENVYにはインターネット接続をするためのLANケーブルの差込口がなく(USB Type-Cに変換が必要)、結論として、何年も前にソフトバンクから無償で送られてきた「fon」という如何わしい機器で既存の光回線をWi-Fi化して手早くインターネット接続をすることにした。
接続の安定性に欠けるが、PCを完全な無線状態で使用できるため、ENVYのフレキシブルな形態変化を最大限に活かした使い方ができる。
私のスキルでは回収不能となったdynabookのHDD(ハードディスクドライブ)内に監禁されている重要データについてだが、外付けのHDDにバックアップを取ったのはおよそ一年前ときており、己のリスク管理の甘さが呪われる。
また、藪の中へと消えた使い慣れた画像編集ソフトやらウェブサイト制作に使うHTMLエディターについて、画像編集は「GIMP」、HTMLエディターは「Visual Studio Code」というそれぞれ無償のソフトウェアで当面を凌ぐこととした。
ともあれ、当ブランドはENVY期に突入。
最良のビジネスパートナーとして、共にこの茨のトンネルから羨望の先へ抜け出さんと意気込んでいる次第だ。
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著/臣咲貴王