綿棒ケースで作る簡易集塵リューターカウル

綿棒ケース防塵リューターカウル

シルバーアクセサリー制作において必須となる研磨作業。

ロストワックスの鋳造によって上がってきた作品及び商品は、鋳造完了の時点で完成というわけではない。

荒れた地金肌を一皮ピーリングして光らせるための研磨作業を経て初めて、その装飾品的な輝きは放たれることとなるのである。

 

一般的に、その研磨作業は「リューター」という電動工具を用いて施工される場合がほとんどだ。

 

このリューターに様々な種類の先端工具を装着し、研磨剤を塗布するなどして地金を磨いていくのだが、ここで問題が生じる。

粉塵(ふんじん)の飛散である。

研磨という名のミクロな切削作業によって、研磨剤を始めとする悪しき物質が空気中をわらわらと漂う現象は、我々作業者にとって決して心地の良いものではない。

また、中には発癌性物質を含有している研磨剤も流通していることから、研磨作業時に飛散する粉塵を吸い込まないようにする努力は非常に大切なのである。

 

まず、マスクによる直接的な防護は必須であるだろう。

ちなみに、過去の私は健康に対する執着が薄く、作業時にマスクなど着用していなかったが、今となって冷静に振り返ってみると戦慄を覚えずにはいられない。

 

粉塵の飛散、吸引を防ぐための最も確実な方法は、集塵機を購入することに他ならない。

 

しかしながら、生活空間兼作業スペースである一室にこれ以上機械が増えることを望まない私個人としては、集塵機の設置によって有限なスペースを彼らに明け渡すことには否定的な立場を貫かざるを得ない。

そこで、空気中に逃げていく粉塵をいかにローコストかつスマートに回収するか、ということになる。

では、私が独自に考案し現在も実践している集塵法を紹介していこう。

 

用意するものは、空の透明な綿棒ケースのみ。

よくある200本入りのサイズでちょうど良いかと思う。

要は、これをカットしていき、リューターに被せるカウルのようなものを作るのである。

綿棒ケース防塵リューターカウル

 

綿棒ケース防塵リューターカウル

綿棒ケース防塵リューターカウル

綿棒ケース防塵リューターカウル

綿棒ケース防塵リューターカウル

このように綿棒ケースを斜めにカットし、リューターのハンドグラインダーのサイズに合わせた穴を空けるだけであっけなく完成となる。

個人的に突き詰めた結果、上の画像のような形状が最も作業効率が高い。

 

カッターナイフなどを使用してカットしてもいいが、私はいつも温度設定をマックスにしたワックスペンで下書きをなぞりながらカットしている。

同業者であれば、このカット方法が最もスマートだろう。

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最低限の粉塵のシャットアウト、そして、作業時に邪魔にならないというポイントを抑えたリューター用カバー。

粉塵飛散の完全なる遮断は実現できないものの、このリューターカウルがあるのとないのとでは、その差は歴然となる。

綿棒ケース防塵リューターカウル

 

集塵というよりは、防塵と呼ぶ方が相応しいだろうか。

このカバーが粉塵の上昇を防ぐための屋根となるのだ。

無論、マスクとの併用が望ましい。

綿棒ケース防塵リューターカウル

 

今回紹介したリューターカウルのアイディアは数年間実践しており、劣化具合によって年に一回程度のペースで新しいものに交換している。

しかしながら、夜な夜な綿棒ケースをカットしている節約の化身かのごとき己の小さき姿を客観視してしまうと、自分は本当に寂しい人間だと実感せざるを得ない。

皆普通は集塵機を使うのだから。

こんなものは作らない。

その点において、この方法は同業者様になど推奨できるような代物ではないのかもしれないが、だからこそ逆に私はこの武器で戦い続ける所存であることをここに宣言しておこう。

 

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著/臣咲貴王



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