もはや何年前になるだろうか。
以前、作業用に使っていたソファーが荒ぶって座った拍子にクラッシュしてからというもの、収納付きスツールを作業椅子として代用していたのだが、「住めば都」と言うように、背もたれのない寂しさを背に感じる日々もすっかり身に染みついた生活を送っていた。
そんなある日、胡座(あぐら)をかいて座れる「あぐらチェア」という代物を発見し、この度即座に作業場に導入する運びとなったのである。
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30分程度で全ての部品の組み立てを終え、早速座ってみる。
私が住処としている六畳一間の主としては、少々ミスマッチな大きさではあるものの、座り心地は中々上々なオフィスチェアーである。
まあ、スツールの居心地と比較した評価なので、座り心地に関して優れた印象を受けるのは当然ではあるが。
ちなみに、あぐらチェアと銘打ってはいるものの、もちろん普通の椅子としての姿勢で座ることも可能だ。
そもそも、私のように彫金作業を行う者にとっては、胡座の姿勢は合理的であるように思う。
手の力が入りやすいというのか、力点を効率的に作用させることができる気がするのである。
更に、キャスターが付いているので、別々の位置でそれぞれの作業を行う場合の移動が容易である点も合理性が高い。
その他のメリットを挙げるならば、何より胡座のリラックス効果による創造力アップに大いなる期待が持てることだ。
前提として、IQを効率良く上昇させ自己にとって最適なパフォーマンスを発揮するためには、リラックスした状態(交感神経と副交感神経がバランス良く機能している状態)が必要不可欠な要素である。
私は最近、自己内部における認知的世界観の書き換え及び効率的な情報受信を目的とするメディテーションの効果を示す具体的根拠の理解に至り、瞑想に目覚めてしまったことも手伝って、このあぐらチェアに座して短時間の瞑想を行うことで一日を開始するという一連の流れが習慣化されつつある。
尚、瞑想に適した座り方としては、より安定感が得られる「結跏趺坐(けっかふざ)」という座り方が挙げられる。
その場合は、胡座の状態から両足をそれぞれ反対の太腿の上に乗せる座り方、つまり、右足を左太腿の上、左足を右太腿の上に乗せる具合となる。
この結跏趺坐の座り方は、胡座に比べて骨盤が後ろに傾きにくいので、胡座の姿勢が齎すデメリットとされている肩凝り、腰痛などになりにくいという利点があるため、平常時にも積極的に取り入れたい座り方だ。
何はともあれ、これにて作業空間がまた一歩快適化されたことによって、今後の活動に何かしらの影響が及ぼされることは明白であるだろう。
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著/臣咲貴王