「王の鼻舌」第九回。
今回は、ホンジュラス産のフロール・デ・コパン マヤコレクション コロナ。
仰々しくコルク栓で封印され、クリスタルを思わせるガラスチューブに収められたコンセプチュアルなプレミアムシガーである。
シガーバンド(帯)が二枚巻かれたダブルリング仕様で、マヤ文明を連想させる神秘的な名の響きと大層な見てくれに魅了され、いわゆるジャケット買い。
何より、他のシガーの保管用にこのガラスチューブが欲しかったのだ。
一本790円と、外観の高級感の割には低価格だが、肝心の味はいかなるものだろうか。
フロールデコパン マヤコレクション 【コロナ】 [ガラスチューブ入り] (1本売り) 全長140mm 直径17.5mm [ホンジュラス産]
価格:790円(税込、送料別) (2017/4/23時点)
まずは、前菜の香りチェックから。
特徴的な艶のあるオイリーなラッパーに鼻を近付けると、芳ばしい獣臭が香る。
点火。
嫌味のない喫味で、ドローも良好。
辛さに関しては、僅かなスパイシーさを含んでいるだろうか。
ヘッドから漏れる旨味を帯びた濃厚な香りに舌鼓を打たざるを得ない。
控え目な甘さと、熱したラッパーから放散される野生的な香りのハーモニーが特徴的で、煙は柔らかく、適度な濃さがある。
吸い心地はシフォンのように滑らか。
中盤あたりで、若干スパイシーさが舌に残り始めるが、後半になると、クリーミーな甘さが顔を覗かせ、かなり良い具合に。
それと共に深まる旨味を感じながら吸い進めていくと、やがて微細な酸味を帯びたニュアンスになる。
90分ほど堪能して投了。
高評価を与えたいが、チョコレートを合わせずに葉巻だけで愉しむとなると、個人的には厳しいと思った。
しかしながら、マヤコレクションの名に恥じぬ森林の守り主のようなシガーであった。
時間的にもコロナサイズは吸いやすいので、貧乏臭くハーフカットなどせず盛大に一本丸々吸った方が満足できる。
まあ、本来はそうすべきなのだろうが、ボリバー ペティコロナス同様、今回のマヤコレクションに関しても強くそう思った。
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著/臣咲貴王