「王の鼻舌」第十九回。
一年ぶりの今回は、ラ・オーロラ社のフィフティーンミニッツ。
最近は節約をモットーとしているが故に、稀にプレミアムシガーを吸うとしても、このように安価なものに選択肢を限定している。
ドミニカ産。
シガーバンドに鎮座する百獣の王が印象的な銘柄である。
フィフティーンミニッツという名が示すように、シガーとしては小振りであり、私が辿り着いた葉巻のコンセプトに相応しいサイズ感だ。
ラッパーは土系統のワイルドなフレイバー。
着火。
フットから立ち昇る初見の香りは、女性的な優しさを彷彿させる。
ドローはベスト。
口腔に含み吐き出した煙は土臭さが強い。
全体的な印象は「DONTOMAS CLASICO」の系統に近いだろうか。
よって決して好みの喫味ではない。
1センチメートルほど吸い進めると、立ち上る紫煙に旨味が加わり、徐々に喫味が安定してくる。
葉巻には紅茶派の私は決して飲まないが、コーヒーと共に吸うと具合が良いのではなかろうか。
個人的には、残念ながら二度目のないシガーであると評価せざるを得ないだろう。
後半に入っても、顕著な喫味の変化はなくずっと安定しているが、半信半疑であった田舎臭さが確信へと変化する。
上品さでは語れないが、じゃじゃ馬というわけでもない。
しかしながら、ラストノートは途端に好印象なクリーミーさが顔を出してくる。
共に雑味も。
片田舎のベビーシッターのようなシガーとでも評そうか。
我が束の間のバスタイムにおける口寂しさを紛らわす目的において、まあ価格分の働きはしてくれたことに対し、ささやかな感謝を示そうではないか。
潜在肺活量の少ないクールスモーキング派の私が15分などで吸い終わるはずもなく、フィフティーミニッツすら超過する一時間弱の喫煙時間で投了となった。
さらばオーロラ107 フィフティーンミニッツ。
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著/臣咲貴王