石膏(せっこう)でできたこの頭骨モデル。
当ブランドxCROWxNILxTAILxCOCKxにおいて、インジェクションワックスを用いてスカルをモデリングする際の参考資料や、作品撮影用のディスプレイ素材としても暗躍しているのだが、ご覧の通り熱烈なアッパーカットを受けたかのごとく下顎と歯の一部が砕けている。
何を隠そう、この破損は、過去の出展イベントにおけるディスプレイ用品として変則的な使用をするために私自身がヤスリで故意に削った結果によるものだ。
以来、ずっと下顎が砕けているという現実に気付かないふりをしながら幾多の苦難を切り抜けてきたのだが、最近、衝動的にこの頭蓋骨を修繕したいという気持ちが止めどなく湧き上がってきたのである。
そして、この衝動を解消するための手段として、紙粘土の使用を候補に挙げつつ色々と調査した結果、「石粉粘土」というものの存在に辿り着いた。
石粉粘土とは、粉上に砕いた石に薬剤などを混合し粘土状にしたマテリアルのことである。
紙粘土よりも耐性が強く自然乾燥後の切削作業も可能ということで、即決で入手し即日修繕オペレーションに取りかかった。
私が購入した石粉粘土は、株式会社パジコの「ラドール プルミエ」。
当該のプルミエ本体であるが、シフォンの如く柔和な手触りだ。
スカルの造形には慣れているので、30分弱で造形作業は完了。
十年以上の頭蓋骨造形キャリアが輝く唯一の場面となった。
そして、一晩乾燥させると粘土部分は完全に硬化しており、石膏部位への定着具合も問題なし。
石膏と石粉粘土間の境界の色味も全く違和感のない仕上がりとなった。
石粉粘土。
石膏像の修繕などには非常に有効な素材であると思う。
余ったプルミエは今後一生使わない気もするが、非常にフレキシブルな素材であり使い道は無限にあると踏み、密閉して後生大事に保管してある。
何はともあれ、深い傷を負った頭蓋骨の蘇生という小さな成功体験を積むことができ、ささやかな充足感に満ちている次第だ。
以下はブログランキング。
賛助のクリックに感謝いたします。
著/臣咲貴王