フルオーダーで承っていた蝙蝠(こうもり)モチーフのペンダントトップ完成報告。
今回は、コウモリモチーフという事で、バット・デバイスの商標で名高い「BACARDI/バカルディ」社のラム酒の中でも個人的に好きな「BACARDI 8/バカルディ エイト(オチョ)」を作品撮影の際のディスプレイ素材に用いた。
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肝心のオーダーメイド作品の依頼内容は、後ろ向きに翼を広げる縦長シルエットのコウモリで、そのコウモリの背中にスカルが浮かび上がったデザインのペンダントトップ、というものであった。
イメージとしては、タトゥーデザインで背中にスカルがついている蜘蛛や蛾などがよくあるが、それのコウモリバージョンとのこと。
そして、コウモリの顔は、アブラコウモリのような豚顔のコウモリではなく、インドオオコウモリのような狐(きつね)顔のコウモリ。
スカルは下顎有りのスカル。
リアルでダークさを感じる作品にしたい、という情報を元に任務を遂行していくこととなった。
まずは、こちらで描いたラフデザインを提出。
コウモリに自身を包み込むような体勢をとらせることで、縦長のシルエットを実現させた。
その時点で、チェーンを通すバチカン部分を棺型のデザインに、というご要望を受け、完成したデザイン画が以下。
棺に刻まれた十字は、コウモリが爪で引っ掻いてできたような傷をイメージしており、作品のストーリーを窺わせるデザインに仕上げた。
続いて、ワックス原型の制作に入る。
紆余曲折を経て完成したワックス原型がこちら。
この紆余曲折の過程こそが、作品制作において最も時間のかかる部分ではあるが、恩返しで機(はた)を織る鶴のごとく、制作途中の様子は隠蔽しておきたい。
シルエットはデザイン画に忠実なものとし、コウモリ全体に有機的なテクスチャーを施すことによって、デザインに深みを与えた。
また、コウモリの顔に関しては、オオコウモリというモチーフにおいてより写実的な表現を求められたため、デザイン画と比較して耳を小さく修正した。
そして、このワックス原型をシルバー925に鋳造していく。
尚、デザイン裏側の構造上、コウモリの胴体と翼の隙間に空洞ができるため、鋳造工程で問題が生じる。
よって、胴体と翼は別々に鋳造することとなった。
この裏側のデザインに関しては、最終的に羽で見えなくなる胴体や脚部分にも隙なく彫刻を施した点が憎いポイント。
出揃った全ての銀パーツ。
シルバー925に鋳造後は、研磨作業、パーツのろう付け作業及び燻し工程、最終仕上げを経て無事に完成となった。
仕上げに関しては、for DEVILラインのような全体への燻しではなく、通常の燻し仕上げを施し、全体は鏡面に仕上げてある。
総重量は約38グラム。
作品タイトル命名のご希望があったので、「MORS(モルス)」と名付けさせていただいた。
「Mors」は、ラテン語で「死神」を意味する。
棺に爪で十字を刻むコウモリというコンセプトから連想して、死を管理する者、イコール死神というワードに辿り着いた。
また、コウモリの翼の鋭利なシルエットが死神の鎌に似ていることや、Morsのイニシャルである「M」のシルエットがコウモリの翼のように見えることから、このタイトルが最も相応しいと判断した。
年の瀬に仕上がったフルオーダー作品ということで、2017年を締めくくるに相応しい暗闇具合が実現できたかと思う。
個人的に満足と納得のいくペンダントトップとなった。
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著/臣咲貴王