今回は、直近で制作していたフルオーダー作品の紹介及び備忘録。
デザインとしてのヤドリギ
オーダー時点で具体的なデザイン指定はなく、他と被らないレディース向けのピンキーリング(小指に着用する指輪)ということで、「ヤドリギのデザインはどうか?」とこちらから提案した。
「忍耐、克服、征服」の花言葉を持ち、ヨーロッパにおいては古くから「神聖な樹」、「幸運を呼ぶ樹」などと認識されているヤドリギ。
地面に根を張ることなく、他の樹木の幹や枝に根を張り成長する半寄生植物であり、その珍しさや植物としての造形美が私の設計意欲を掻き立てたのである。
無二の完成品
そしていきなり完成品。
制作は安定のロストワックス製法にて。
使用地金はK18(18金イエローゴールド)がメインで、Silver925製のヤドリギの実をロウ付けしてある。
デザインにおいては、ヤドリギ本来の連続性を母体としつつも、どの角度から見ても違う表情に見えるようなランダム性を全体に取り入れている。
総重量約2.4グラムからなる唯一無二のピンキーリング。
無事産み落とせて安堵。
高騰し過ぎたゴールドの行く末
今回のオーダー品においても使用した18金、原型制作開始から数か月の間にもゴールドの価格は上昇し続け色々と苦労した。
全体的な相場観では高止まりといった印象の金相場。
個人的には、せめて1グラム8,300円辺りまでの中期的な調整を挟んでほしいものだが、雨後の筍のように湧いてくる地政学的リスクを鑑みるに、まだ上昇する蓋然性が高いのも事実。
しかしながら、上値が青天井であることを踏まえつつも、現在価格が高値圏であると認識する場合、10年単位の長期では1グラム4,900円辺りまで下落しても不思議ではないチャート形状をしているのも事実かと。
要は、制作原価を気にすると作品制作、特に新作への着手に二の足を踏まざるを得ない今日この頃なのである。
近頃はこの事ばかり書いている気がするが、貴金属を扱う当ブランドにとってはそれほど重要な要素なのだ。
新作予告
そんな中、当ブランドxCROWxNILxTAILxCOCKx(クロウニルテイルコック)の13周年アニバーサリーリングの制作が現在順調に進行中。
8月末には販売開始の予定でいるので、ご期待を乞う。
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著/臣咲貴王