指輪、ネックレス、ブレスレット…
地肌を飾り立てるアクセサリーというアイテムは、基本的に身に着けていると邪魔なオブジェクトであることは、我々人類にとって周知の事実である。
特に、指輪などは、あらゆる手作業を行使する流れにおいて明確な煩わしさを醸す存在であり、我々が目的を果たす上での枷となり得る道具であると、存在意義のネガティブな側面を述べることに正当性すら感じるかもしれない。
私が、西暦2004年から2006年の間に在籍し全過程を修了した、ヒコ・みづのジュエリーカレッジでも、間接的に、装身具は生活に不必要な嗜好品であるという導入のもとに、カリキュラムが遂行されていた節がある。
ではなぜ、一部の我々人類は、装身具としてのアクセサリー、ジュエリーを身に纏うことを渇望するのか。
これを今回の記事の主題とし、特にシルバー(銀)に焦点を当てて探っていくとする。
アクセサリーを装着し、単に目立つことによって、自己承認欲求を満たすためという表面的な回答からは距離を置き、もっと根底にある本質的な視点から探っていこうと思う。
まず、銀には「魔除け」の効果があるとされており、これは、シルバーアクセサリーを装着する理由として十分な説得力を有する。
では、一体どういった理論を用いてそのような効果があると結論付けたのか、ということについて考察してみたい。
その前に、我々ホモ・サピエンスが色彩を認識するシステムについて記しておく必要がある。
物体の色というものは、その対象物自体が光を浴びる中で反射した光の色であり、その光の波を受信することで私達は色を認識するのである。
ヒトの網膜には、3種類の錐体という細胞がある。
光の三原色である、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)、のそれぞれ3つの光の波長に対して反応するそれぞれの錐体があり、それら細胞の反応が統合されることによって、一つの色が瞳に映し出される仕組みになっている。
そして、「シロガネ」の和名でも知られるシルバーという貴金属は、可視光線の全ての波長域を均等に反射させるため、3つの錐体細胞が等しく反応し、白い光を放って輝いているように私達人間の目には映るのだ。
要は鏡のようなもの。
ちなみに、鏡面仕上げを施したシルバーは、全ての金属の中で光の反射率トップを誇るマテリアルである。
このことから、身に迫る災いを反射、退散させるという意味合いで、シルバーが魔除けの効力を発揮する貴金属であると定義されたのだと推測できる。
また、銀はバクテリアなどに対する高い殺菌作用を示すため、その効果からも、「魔除け」というワードを容易に連想することができる。
そして、ごく自然な動機として、光り輝く装身具の着用における気分の高揚によって、自信を獲得する感覚を覚えるということもあるだろう。
例えば、生存の上で不安や恐怖を覚える場面に遭遇した場合など、装身具を纏っていることによる高揚感が、それらのネガティブな感情の増殖を抑制させる効果は十分にあると思う。
そういった負の感情(魔)を抑制、コントロールする力を有するマテリアルとしても、銀には魔除けの効果があると説明することも可能だ。
その意味で、より精神を安定させ有益な人生を歩むことにおいて、シルバーアクセサリーを中心とする装身具は、我々人類にとって必要不可欠な存在なのではないかと、そう結論付けて本記事の総括としたい。
金と銀の貴金属は、当ブランドxCROWxNILxTAILxCOCKxのメインマテリアルとなるため、今後も重要な研究課題として、その秘められたパワーを解明していきたいと思う。
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著/臣咲貴王