皮肉と厭世のフルオーダーシルバー925リング「QLIPHA」

2年前にオーダーを承ったフルオーダーの指輪がようやく完成したので御披露目。

 

今回のフルオーダー制作は史上最難の内容であり、デザイン構想に1年半以上、実制作に数ヶ月という異例の歳月を要して完成に至った渾身のリングとなった。

当然、実働時間としてはもっと短くなるが、約2年もの間抱えていた案件であっただけあって安堵感も一入である。

 

まず、オーダー内容は以下のようであった…

  • 幅5mm~10mmで、厚みが2~3mm程度の平打ちを基調とした銀(Silver925)のリング
  • 平打ちをベースとしたシンプルなリングの中にペシミズム(厭世観)、ニヒリズム(皮肉)を表現したデザインを施す
  • リングは燻しを一切施さず、ヘビーユーズに耐え得る耐久性を持ち、使用に伴う傷によってデザインに深みを与えられるもの
  • 文字の彫刻は不可

というもの。

 

普段、フルオーダーのご依頼をいただく場合は、具体的なモチーフとある程度のデザイン指定を受けてから制作に入ることが通例である。

しかし、今回はそういった概念を超越した抽象的なオーダー内容であったが故に頭を抱えたが、xCROWxNILxTAILxCOCKxの名を廃らさぬためにも、ご依頼を快諾の後、途方なき制作活動の火蓋が切られたのである。

 

依頼内容の詳細からして、中途半端な作品を創ることは私個人にとっても絶対に許されない。

幸い、先方からは何年でもお待ちいただけるとの猶予を得ることができたので、とにかくこの「抽象の具象化」とでもいうべき難題を遂げるためにいかにしてデザインを構築するかが最初の課題であった。

 

「こんなものを創ってほしい」という依頼主の想念は魂に例えることができる。

すなわち、オーダーメイド品の制作者に求められるのは、その魂が宿るべき肉体を創造することである。

そもそも、オーダー内容自体は見ようによっては非常に具体的だ。

しかし、その言語的内容を落とし込むための適切な媒体が存在しない。

例えば、「蛇をモチーフにしてほしい」と言われれば、蛇は物質界に存在するのですぐにデザインを思い描くことができる。

しかし、「厭世観をモチーフに」と言われると、厭世観というものは物質界には存在しないため、魂と肉体との最適な接続が途端に困難になるのだ。

今回のオーダーの難関はまさにそこにあり、むしろ選択肢が広過ぎるといってもいいのかもしれない。

 

結果として、長期間要しはしたものの、私は答えを導き出し肉体を得て誕生したのがこのリング。

フルオーダーシルバー925リング「QLIPHA」

 

以下はデザインコンセプトとなる。

指輪という円の形状には、永遠に繰り返す生死や四季、満ち欠けする月や輪廻転生など、時の流れの永遠性の観念が内包されている。

今作はその永遠性をこの物質世界の栄枯盛衰や盛者必衰などの無常になぞらえて表現した作品となる。

フルオーダーシルバー925リング「QLIPHA」

フルオーダーシルバー925リング「QLIPHA」

ベースは平打ちリングで、その表面領域を二分割し、フラットな面と経年によって徐々にヒビ割れ欠け落ちた面の二面にすることによって、一つの指輪の中に時の経過の概念を落とし込んでいる。

 

フルオーダーシルバー925リング「QLIPHA」

リング内側にも半周に亘って同じようにクラックを刻み込み、リング全体の統一感を表現。

 

そして、着用による傷や経年による硫化に伴い、このリングは更に深みを増してゆくはずだ。

時を経るに従い、そのものの先天性に関係無く傷付き老いてゆく事で最後には同じように死を迎えるという虚しさやそこから生まれる虚無感・厭世観(ペシミズム)を表現している。

 

次に、このリングで最も目を引くポイントは中心に彫り込まれた彫刻であるが…

フルオーダーシルバー925リング「QLIPHA」

フルオーダーシルバー925リング「QLIPHA」

この模様は、瞳の中に入っていく蛇を彫り込んだもので、この目は「ホルスの目」を表している。

ホルスの目とは、古代エジプトに起源を持つ「完全性」を意味する意匠で、フリーメーソンのシンボルである「プロビデンスの目」のルーツであるといわれているシンボルである。

このホルスの目を、我々を監視している目、つまり我々が支配されているという事実の象徴として捉え、その中に「再生」を象徴する存在である蛇が入っていく…

これは、支配的な社会に対する疑問符や破壊願望を表現している。

完全性の先には崩壊以外の道は無く、崩壊後再度再生することでしか時間という概念は意義を持つことができないという皮肉(ニヒリズム)を表した彫刻でもある。

 

以上のコンセプトを内包して完成したこのリングは、ペシミズム・ニヒリズムを併せ持ち、経年によってデザインに深みを与えることができ、ヘビーユーズにも耐え得る造形作品として、オーダー内容に沿った返答をし得る仕上がりになったはずだ。

 

フルオーダーシルバー925リング「QLIPHA」

使用素材はSilver925。

 

また、今回はこのリングにタイトルを付けてほしいというご要望があり、私が題したタイトルは「QLIPHA(クリファ)」。

Qliphaとは、「殻」を意味するヘブライ語であり、これは古代の神秘思想カバラの概念であるセフィロト(生命の樹)と対をなして存在する「クリフォト(死の樹/邪悪の樹)」の語源である「クリファ」を由来としている。

そして、この「殻」を意味するQliphaを、中身を包むもの、包括するもの、転じて釈迦の唱えた空(くう)の概念として捉えることで、このリングを「あらゆる知識や隠された真実を受け入れることのできる空(から)の器」として定義したタイトルとなっている。

 

…ということで、今回のオーダーメイド制作を通じて、この物質世界と精神世界における捉え方や考え方に対する理解を以前より深めることができたと思う。

この場を借り、ご依頼者様には改めて感謝を申し上げます。

 

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著/臣咲貴王



シルバーアクセサリーの撮影を彩る小物としてのドライフラワー

最近手に入れたミニバラのドライフラワーの紹介。

美しく濃厚なワインレッドの花弁とそれをを包まんとする萌黄色の葉の生命力が好条件で保存されており、私の中では評価が高い。

ミニ薔薇ドライフラワー

 

花のミイラとでも形容しようか、数日で枯れてしまうであろう短命なる切り花の運命をドライフラワーという形で永きに渡って保存する方法は、自然界の循環にメスを入れる人類のエゴイズムによってのみ正当化される手段であるだろう。

ミニ薔薇ドライフラワー

 

xCROWxNILxTAILxCOCKxの商品撮影時において、被写体にドライフラワーを添える演出は私の中で常套手段となっている。

当ブランドのゴールド、シルバーアクセサリーは頭蓋骨などの死を象徴するモチーフのアイテムが多く、乾燥させた花の醸す寂寞たる雰囲気との相性は絶妙なのである。

特に、生前の優美に咲き誇る印象が強い薔薇はドライ後の黙然とした姿との対比を顕著に感じられるため、一種の死生観を表現する上で切り離すことのできない運命共同体であると言っても過言ではないだろう。

 

下の画像は今回入手したドライフラワーのものではないが、当ブランドの定番商品である神秘的スカルリング「IESOD」に赤いミニバラのドライフラワーを添えた写真。

神秘的スカルリング「IESOD」

 

当ブランドは、インターネット販売を主軸に置いた運営をしているので、商品写真の準備は絶対的に必要とされる業務の一環である。

ネットショップ運営における商品撮影の基本は、無背景のホワイトバック写真の方が商品のみの正当な印象を伝えるために有効であるという考え方もある。

しかし、当ブランドでは商品の世界観を最大限に引き出した写真を提供したいという考えの方が優勢であるため、現状ではこのようなドライフラワーなどの小物を使った演出で、xCROWxNILxTAILxCOCKxのブランドイメージをどのようにより深く伝えるかということを追求していきたいと考えている。

 

今回のドライフラワーもいずれ来るべき商品撮影の際に静かに添えたいと思っているので、いずれ。

>>楽天市場で「ドライフラワー スプレーバラ」を検索

 

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著/臣咲貴王



宇宙一のスカルリング「GEBURAH」の纏め

当ブランドxCROWxNILxTAILxCOCKxの大物目玉商品、宇宙一のスカルリング「GEBURAH(ゲブラー)」について、このブログで触れないわけには進まないので記しておく。

 

始めに、スカルリングとは人間の頭蓋骨をモチーフとした指輪のことであり、メンズシルバーアクセサリーの代名詞であると言えるほど代表的なカテゴリーの一つとなっている。

シルバー業界を見渡せば、主観的に見て粗雑なものから写実的なリアリティが表現されたものまで様々なスカルリングが溢れかえっており、例えそれが有名ブランドのクオリティを凌ぐものでも、その土俵深くに埋まり日の目を見ぬままの有能なスカルリングも数多くあるのではないだろうか…

 

そんな幾多の屍が犇くシルバー業界の中で、xCROWxNILxTAILxCOCKxが「宇宙一のスカルリング」と称して吐き出した一つのスカルリング。
それがこの「GEBURAH」である。

宇宙一のスカルリングGEBURAH(ゲブラー)

まず、第一印象はその大きさ。

高さ5.4cm、幅3.1cmという、装身具としてのリングにはあるまじき存在感を放っている事実からは誰も目を逸らすことができない。

 

そして、二度目に驚くのはあなたがGEBURAHを手に持った瞬間だろう。

宇宙一のスカルリングGEBURAH(ゲブラー)

総重量約213グラムという、Silver925(スターリングシルバー)の指輪としての常軌を逸脱した重量感で他を圧倒する支配力を有している点で、他のブランドでは思い描くことはあっても現実に制作しようとはまず思わないであろうスカルリングとなっている。

 

クオリティの面でも、頭蓋骨の造形美に対して妥協することなく細部に渡って繊細に彫り込まれており、リアルなスカルリングというジャンルの中には当然のごとくカテゴライズされるべき作品であると言える。

宇宙一のスカルリングGEBURAH(ゲブラー)

 

そして、最も重要な点はスカルの下顎が可動するという点。

宇宙一のスカルリングGEBURAH(ゲブラー)

顎が動くスカルリングというのは一つのステータスであり、属性として無可動のスカルリングよりも一つ上の次元の存在である。

GEBURAHの可動方式には独自の原理を用いており、バネなどは使用していないにも関わらず開いた下顎は自動的に閉じる仕組みとなっているので、着用時に顎がだらしなく開きっぱなしになる心配が無用である点は評価に値するはずだ。

 

重量、品質、遊び心…

こういった要素を踏まえて、当ブランドではこのGEBURAHに「宇宙一のスカルリング」という代名詞を与えているのが現状となっている。

宇宙一のスカルリングGEBURAH(ゲブラー)

 

銀を200グラム以上使っておるがゆえに少々高価な品ではあるものの、スカルリングを愛する方に向けて自信を持って推薦できるスペックとなっておりますので、私としては是非このGEBURAHの魔力を愉しんでいただきたい次第。

xCROWxNILxTAILxCOCKx OFFICIAL WEBSITE→ 宇宙一のスカルリング「GEBURAH」

 

ご購入前の参考としてワックスサンプルも販売中。

xCROWxNILxTAILxCOCKx 公式オンラインショップ→ ワックスサンプル「GEBURAH」(販売終了/2020年4月4日追記)

 

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著/臣咲貴王



ゴールド&シルバーアクセサリーブランド xCROWxNILxTAILxCOCKxの創造責任者 臣咲貴王による新ブログ開設

FC2ブログ「頭蓋と宝石」からの移転…

今後はこちらに記事を更新してゆきますので、何卒よろしくお願い申し上げたい次第。

WordPressを導入した当新ブログで、タイトルも新たに「金の頭蓋・銀の頭蓋(きんのずがい・ぎんのずがい」として価値あるコンテンツを遺していければと思っております…。

 

私が個人で運営するゴールド&シルバーアクセサリーブランド「xCROWxNILxTAILxCOCKx(クロウニルテイルコック)」の旗上げより5年、所謂彫金作家としては10年、ホモ・サピエンスとしては30年間の地上生活を経たこのタイミングで、魂を転換すべく開設した当ブログ…

頭蓋骨(スカル)モチーフの作品を筆頭として創造しているxCROWxNILxTAILxCOCKxでは今後当分、K18とSILVER925の地金のみをマテリアルとした創作を進めてゆきたいと考えており、前ブログの「頭蓋と宝石」ではタイトルとコンセプトの間に矛盾が生じる気持ちの悪さを許容することができない点が影響した経緯もあり、新たに「金の頭蓋・銀の頭蓋」と定めたのである。

xCROWxNILxTAILxCOCKxの処女作が、Silver925製のスカルリング「IESOD(イェソド)」、そしてK18製のスカルリング「NETZACH(ネツァク)」であるということもあり、原点に立ち帰る意味を含めブランドの公式ブログとして相応しいタイトルであるはず。

また、記事内容に関しても以前を凌駕すべく濃厚なエッセンスを付加してお届けできればと目論見を膨張させている。

 

とりあえず、最初の記事として著者プロフィールを…

臣咲貴王(おみざき きおう)

1986年1月14日生まれのホモ・サピエンス、男性、日本国籍、血液型B型、左利きでベジタリアン(ヴィーガン)の無宗教者である。

本国のヴィジュアル系文化に強い影響を受けている側面がある。

xCROWxNILxTAILxCOCKxにもそういった音楽シーンの精神性が反映されている部分もあり、創造責任者としては顔面にメイクを施した状態を自分の中で正装としている。

2011年の初頭から、肉体意識の変革を求めベジタリアンの食スタイルを貫いている。

当初は分類的には卵・乳製品は摂取可能なラクト・オボ・ベジタリアンであったが、味を占めた2015年後期より卵・乳製品の摂取も停止し完全菜食のヴィーガンへと華々しく進化を遂げた。

この辺りの経緯についても当ブログでいずれ詳細な記事を上げたいと思っているので。

支配層の息吹に毒された俗世間の思想から一歩ずつ距離を置くうちにニッチな人種となってしまっているが、地球社会に対する疑問符を吐き出すためのクリエイティビティを高めることにおいて現在の生存様式は最適であると判断している。

 

このブログでは、主要となるであろうシルバーアクセサリーの制作工程や彫金、貴金属関連の記事以外にも社会、文明、宗教、哲学、健康や私的事情などについても思考回路の奥底から吐き出してゆきたいと考えているので、誰しも生温い目で気儘に閲覧していただきたい。

 

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著/臣咲貴王