オーダーメイドPt900ハートネックレス作業報告とプラチナの浅知恵

フルオーダープラチナハートネックレス

受注を承っていたフルオーダーメイドのプラチナネックレスが完成。

フルオーダープラチナハートネックレス

 

今回、デザインは全てお客様のご指定で、二つのハートの輪郭が寄り添い交差するトップの両脇に、うねりを加えたワイヤーデザインをあしらったネックレスとなっている。

フルオーダープラチナハートネックレス

 

チェーンは、楕円形の丸環と円形の丸環が交互に繋げられた「ショート&ロング」という種類のものを仕入れた。

マテリアルはPt900を使用(チェーンパーツは一部Pt850)。

「Pt」については、この記事の後半で述べようと思う。

 

トップの制作は、ロストワックスによる技法で執り行った。

ロストワックスとは、ワックス原型を制作し、それを基にして作った鋳型(いがた)の中に地金(今回はPt900)を流し込む方法で、鋳造(ちゅうぞう)という技術である。

xCROWxNILxTAILxCOCKxの商品も、ほぼこのロストワックスによって制作されており、上記の鋳造工程だけは外部の信頼できる専門業者に外注している。

 

そして、今回は贈呈用としてネックレス専用のジュエリーケースをご用意させていただいた。

ネックレス用ジュエリーボックス

 

プラチナの品格に添えるには無垢なホワイト系が適切と考え、白(アイボリー)を選択。

ネックレス用ジュエリーボックス

ネックレス用ジュエリーボックス

 

こちらのジュエリーボックスだが、レザー調で期待以上に高級感があり、品質が高かったことは収獲であった。

当ブランド商品の住処としても、今後の導入をかなり前向きに検討中である。

ネットショップに商品画像が少なかったので不安視していたが、杞憂に終わった。

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ゴールド&シルバーアクセサリーブランドと銘打っているが故に、xCROWxNILxTAILxCOCKxでは普段、Silver925かK18しか素材としては使用しておらず、プラチナは専門ではないが、制作自体は可能である。

1,768.3℃という高い融点を示すプラチナは、ロウ付け(溶接)の際にロウ材が流れにくかったり、地金が粘り強い性質を持っているため、鋳造後の研磨作業に関しても難航しがちな不撓不屈の精神が宿ったマテリアルであると認識している。

 

更に、比重も21.3と数値が高い。

「比重」とは、水を1と仮定した場合の、同一体積での物質の重さを相対的に表した数値のことである。

つまり、1リットルのペットボトルに入った水は1キログラムだが、1リットルのペットボトルに入った純プラチナは21.3キログラムということを示している。

ちなみに、ゴールド(純金)の比重が19.3、シルバー(純銀)の比重が10.5であることを考えると、プラチナが重量級の貴金属であることを物語っていると容易に理解できるだろう。

なので例えば、当ブランドxCROWxNILxTAILxCOCKxの約38グラムのシルバー925製スカルリング「IESOD」をプラチナで制作すると、同じ体積であるにも関わらずプラチナ製の方は70グラム台にまでウェイトアップするのである。

 

Ptとは。

いわゆるプラチナ、白金(はっきん)とも呼ばれるレアメタルである。

業界一般にみる貴金属の含有率は、百分率のパーセントではなく千分率のパーミルで表される。

よって、「Pt900」という刻印が打刻してあるプラチナ製品は1000分の900がプラチナで、1000分の100は他の金属(割り金)であるということを示している。

何故、他の金属を混合するのかというと、プラチナ1000パーミルでは柔らか過ぎてジュエリーとしての耐久性に欠けることが理由とされており、プラチナ製品には割り金としてパラジウムが混ぜられることが一般的だ。

今作のハートとワイヤーパーツはPt900仕様で、「Pt900」の刻印を打刻してある。

Pt900刻印

 

個人的なポリシーの話となるが、オーダーメイドだけに関わらず、ご注文やご依頼をいただくことは嬉しい。

なぜなら、自分の労力と引き換えにお金を頂けるからであり、そのお金で生活が潤うかもしれないという期待を持てるからである。

要は、欲望を基礎とする脳内の報酬回路が働き、自身の喜びに直結するのだ。

よく、「お客様の喜びが私達の喜びです。」などと、空想のキリストのような戯言を曰っている事業者がいるが、喜びが欲しいだけなら諸経費だけ頂いて無料で働けという話なので、自己の利益を計算している時点で、そんな台詞はあざといまやかしに成り下がらざるを得ない。

お客様の喜びはお客様の喜びなのであり、事業者にとっては、「お客様のお金が私達の喜び」なのだ。

都合良く美辞麗句を並べてイメージアップを図る企業の演出は茶番でしかないと、個人的には常々憤りを感じる。

勿論、商品に対するお客様の喜びが伝わり、私自身がポジティブな感情を抱く状況を事実として経験することはある。

しかし、私はそのためにこのブランドを運営しているわけではない。

お金のため、自己承認欲求を満たすため、自分の世界観を完成へと導くため、そしてお金のため、という利己的な土台の上に存在する事業であり、お客様の喜びという要素に関しては、雀の涙程度にしか意識していないことを、正直にここに記しておきたい。

 

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著/臣咲貴王



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