王の鼻舌 #3「MACANUDO MADURO DIPLOMAT | マカヌード マデュロ ディプロマット」

MACANUDO MADURO DIPLOMAT マカヌード マデュロ ディプロマット

「王の鼻舌」第三回。

 

今回は、マカヌードのマデュロ ディプロマット。

独特のシェイプが印象的なドミニカ産のプレミアムシガー。

一本1,100円。

 

ラッパーの香りは、洗練されたドライな土臭さの中に特有のハーブのような寒色系の風味を感じる。

ハーフカットして吸うには短いので、羽振り良く一本まるごと愉しむ必要がある。

 

着火。

煙の量は少なめで、序盤から中盤にかけて徐々に甘さが濃くなり、後半になるとそのスウィートさは安定し締まってくる。

喫味は少し苦さが際立つが、マイルドなので決して嫌な苦さではない。

アダルトなショコラのようなプレミアムシガーで、チョコレートとの相性が非常に良い。

 

終盤になると、何とも芳醇なバニラの芳香が現れ、灰皿という名の墓場へと別れを告げようとする私の手をいつまでも引き止める。

ギリギリまで愉しんで、一本70分弱で吸い終わった。

最初から最後まで安定して美味しく吸える。

 

このマカヌード マデュロ ディプロマットは、私の葉巻保管庫に常備してあるシガーのひとつ。

とにかく、今回の個体はバニラの贅沢な香りが抜群に素晴らしかった。

 

傾向として、空腹時の食事が普段に増して幸福感を齎すのと同様、疲れている時ほど葉巻は美味しく感じる。

また、何日か間隔を空けて吸った方が煙から受け取れる恩恵が大きく、逆に連日火を点した場合には、ニコチン酔いの兆候やダウナーな感覚を呼び起こしてしまいがちであるという個人データが出ている。

それはまるで、この過度な制限を設ける地球社会に我々を依存させるために、設計者が脳にかけた飴と鞭の魔術的構造が正確に機能していることを裏付けるかのような皮肉な結果として、私の自由意思の上をリフレインするのである。

 

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著/臣咲貴王

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