王の鼻舌 #1「PRINCIPES ROBUSTO | プリンシペ ロブスト」

PRINCIPES ROBUSTO プリンシペ ロブスト

私のささやかな嗜みである葉巻

決して誇れる数ではないが、これまでに幾本かのプレミアムシガーを灰に変えてきた。

 

私は歴5年のベジタリアンであり、最近では、食品添加物や白砂糖についても断固拒絶しているお陰で、味覚、嗅覚が以前より敏感になっているはずなのだ。

よって、シガーにおいてその喫味をより深く探る感覚が開花し得るはずだという希望的観測から、その能力開発に向けた道程を「王の鼻舌(おうのびぜつ)」と題し、シガーレビューとして少しずつ記録していきたいと思う。

 

初回のこの記事では、国内に流通するプレミアムシガーの中では最も安い価格帯を誇っているであろう、ドミニカ産の「PRINCIPES ROBUSTO | プリンシペ ロブスト」について。

ロブストサイズで1本450円は驚異。

 

私は、葉巻を半分に切断して2回に分けて吸う習慣があるので、1回225円で愉しむことができるコストパフォーマンスに優れたプレミアムシガーである。

 

着火前のラッパーの香りは、獣臭に森林の清涼感をブレンドしたような第一印象で、全体的に香りの密度が薄い。

鼻を深く踏み入れると、微かにチョコレートのような甘さ、そして若干錆びたような金属の印象が鼻腔に侵入してくるのを感じ、やや荒削りなオーラが放たれている。

 

では、着火しよう。

着火直後、フットから立ち昇る煙の香りには、生意気にも心地よいクリーミーさが混じっており、廉価ながらも自己がプレミアムシガーであることを声高に主張しているかのようだ。

喫味はスパイシーで、そこにいわゆる出汁のような旨味が混じる。

吸い口から零れる煙からは、ナッツのような芳香が感じられる。

 

葉の巻きが緩く、ドローは非常に軽い。

もはやストローのようだ。

よって、灰が柔らかく折りづらい傾向にある。

私は、数センチ溜めておいた灰を一気に折るときに灰がやや抵抗してくる感触を味わうのが好きなのだが、その楽しみに欠ける。

 

個人的な葉巻の吸い方としては、吹き返して燃焼部分が高温になったところで煙をゆっくりと口に含み、口腔から厳かに吐き出す紫煙の中から甘い芳香を探る行為を愉しむのがシガーの醍醐味であるという思想だ。

しかしながら、昇り竜のごとくフットから天井の換気扇の中へと昇華していくピュアな芳香もシガーの本領であり、吹き返しては吸い込み、また吹き返しては吸い込む。

フットとヘッド両方の口から流出する香りを深く分析しながら、一本の葉巻の世界に入り浸る時間こそが至高であるとの結論に至っている。

 

後半になるに連れて雑味が増すのはほとんどのシガーに共通する傾向で、無論このプリンシペとて例外ではない。

葉巻は、巻かれたフィラー(たばこ葉)そのものがフィルターの役目を果たしており、後半になればなるほど先に吸った煙が染み込んだフィラーを燃焼させることになるので、雑味が出てくるのは仕様だ。

また、吹き返しによってその雑味を多少軽減させる方法もあり、私は一応そのようにしながら吸っている。

 

持ち手部分の3cm弱を残して喫煙終了。

時間にしておよそ30分。

今回は半分を吸ったので、一本丸々吸うとなると優に60分以上かかるだろう。

 

結論としては、プレミアムシガーとしてそこそこは愉しむことができる葉巻であった。

終始スウィートな芳香を放っており、喫煙中に一瞬だけ恍惚とさせる甘い香りに巡り会えたことが幸運であった。

しかしながら、何というか香りに芯がない印象を受けた点では、価格相応といったところなのだろうか。

例えるならば、夢追う若人のようなシガーであり、二十歳そこそこの頃に自分が制作していた作品の青さを彷彿とさせるほろ苦さを持っている。

何しろ安いので、興味本位で購入しても後悔の念は最小限に抑えられるかと思う。

 

葉巻とは、同じ種類のものでもその味わいにそれぞれ個体差があるので、一本吸っただけでは一概に評価することが難しい嗜好品である。

しかしながら、その点が私の探究心を駆り立てるのであり、王たる鼻舌を究めるためのツールとなり得る代物であると言えるだろう。

 

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著/臣咲貴王

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