新作スカルリング「BINAH」ワックス制作中につき…

スカルリング ワックス制作

制作中の蝋髑髏。

xCROWxNILxTAILxCOCKx for DEVILラインの二作目となる予定のスカルリングを現在制作中である。

 

当ブランドにおける作品制作は、ほとんどの場合「ロストワックス」という技法を用いて行われる。

ここで、ロストワックスという技法について手短かに3ステップで説明すると、

  1. 「ワックス」という蝋燭の蝋と同質のマテリアルで造形を創り出し、そのワックスを液状の石膏に埋没させ、焼成する。
  2. 焼成によって、石膏は固まり、ワックスは気化する(このことからロストワックスと呼ぶ。)ので、石膏内に焼成前のワックスと同じ形の空洞ができる。
  3. その空洞に融解させた金属(金や銀)を流し込み、冷えると焼成前のワックスと同じ形状のものが金属として顔を現す。

といった具合で、上記のワックス造形から後の工程を「鋳造(ちゅうぞう)/キャスト」という。

 

そして、実際はその後、諸々の研磨作業を経て作品が完成するのである。

ちなみに、当ブランドではこの鋳造工程のみ、御徒町のキャスト専門業者(有限会社 トーヨー精工)に外注して行なっている。

 

造形に使用するワックスは、ハードワックスと呼ばれるものからソフトなものまで様々な種類のワックス製品が世に蔓延っているが、私は主に「インジェクションワックス」と呼ばれる、ワックスの中でも比較的融点が低く柔らかい性質を持つワックスを使用して造形を創造している。

私がインジェクションワックスをこよなく愛用するようになった理由については、ハードワックスなどに比べてインジェクションワックスは柔らかく加工が極度に容易であるため、表現したい造形まで短時間で辿り着くことができる点が大きい。

それによって、造形表現の奥深くを探求する余裕ができるため、例えばスカル(頭蓋骨)のように有機的なラインを重んじる造形において、高いクオリティで表現を完結させることが可能なのである。

 

あとは、何より粉が出ないこと。

ハードワックスでの造形においては、一つの塊であるワックスをヤスリなどで削っていくことで造形を形成することが基本工程となるため、その作業によって机上がワックスの粉まみれになってしまうのである。

 

私は、埃などの粉系攻撃に対して精神的な脆弱性を持つ性質であるため、そのような粉の海を彷徨う日々に別れを告げ、ワックスペンで融解させたワックスを少しずつ盛っていくことで造形を形成することを得意とするインジェクションワックスの信者となった経緯がある。

ちなみに、インジェクションワックスは、ヤスリで削ってもヤスリの目にワックスがへばり付くだけで粉が舞う心配はない。

 

制作中のスカルリングは、xCROWxNILxTAILxCOCKxが過去に発表してきた、カバラスカルリングコレクションシリーズの続きとして発表することとなる。

しかしながら、こちらの新作は、ニューラインであるxCROWxNILxTAILxCOCKx for DEVILのアイテムとして発表することとなるので、過去の世界観と新しい世界観を繋ぐ架け橋として、このシリーズを認識していただけるとありがたい。

 

現時点では、この新作スカルリング「BINAH」の全貌は明らかにはしないが、for DEVILのコンセプトに相応しいスカルリングの誕生を予感している。

 

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著/臣咲貴王



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